アジア人攻撃のため進化したインド型変異株
確かに、東京五輪の開催にこれまで以上の暗雲が立ち込めている。インドで1日に35万人の感染者を出すほど猛威を振るっているインド型変異ウイルスだ。これまで日本をはじめとするアジアの人々は欧米人に比べて、新型コロナの感染者が少ないとされてきた。
しかし、インド型変異ウイルスは、そうしたアジア人の免疫を突破するように新たに進化したタイプだというのだ。それが、東京五輪を契機に日本に広がったらどうする。
東京新聞(5月1日付)「新型コロナ、インド変異株の発現は『アジア人の免疫から逃れるため?』日本人の6割で免疫低下か」が、その恐ろしさをこう伝える。
「インド由来の新型コロナ変異株が、英国株に続く『脅威』となる。日本人に多い白血球の型による免疫が効きにくくなるからだ。インド株は既に国内の空港検疫で20人、都内では1人から見つかった。インド株には『L452R』と『E484Q』という2つの特徴的な変異がみられる。東京大や熊本大などの研究チームは4月、L452R変異は日本人の6割が持つ白血球の型がつくる免疫細胞から逃れる能力があるという実験結果を発表した。これは、6割の日本人がインド株に対して免疫低下の可能性があることを意味する」
しかも、厄介なことにL452R変異は人の細胞とくっつきやすく、感染力が高い。L452R変異は、米カリフォルニア州から全米に広がった変異株からも見つかっている。カリフォルニア州は米国で最もアジア人が多い。だから、研究チームは「L452R変異はアジア人の免疫から逃れるために発現したとも仮定できる」と指摘する。現にインドでは、インド株が英国株を凌駕し、置き換わりが猛烈な勢いで進んでいる。
東京新聞は、こう結んでいる。
「日本では関西圏で英国株による感染再拡大が起き、首都圏にも広がっている。インド株が英国株の感染力を上回れば、今後、国内でも拡大する可能性が出てくる。研究チームを主宰する東大医科学研究所の佐藤佳准教授は『日本はこれまで、欧米に比べて感染者数や死者は少なかったが、L452R変異が脅威となる可能性がある』と話し、徹底した調査を求めている」