看護師に続き医師まで「調達」する気か!
どうやら毎日新聞のアンケート調査では、政府や大会組織委員会に忖度する知事が依然として多いことがうかがえるが、組織委の「暴走」は止まらない。
医療のひっ迫にお構いなく、五輪組織委員会が看護師の派遣を日本看護協会に要請したことが猛批判を浴びているが、医師のボランティアも募集していることが発覚した。スポーツニッポン(5月4日付)「五輪組織委 看護師500人に続きスポーツドクター〈無償〉200人募集、批判相次ぐ」が、こう伝える。
「東京五輪・パラリンピック組織委員会が、大会期間中に競技会場の医務室などで活動する医師を確保するため、日本スポーツ協会を通じて協会の公認スポーツドクターを200人程度募集していることが5月3日、わかった。実際に案内が届いた男性医師は『4月30日に募集メールが来た』と明かす。活動内容は、熱中症や新型コロナが疑われる症例が出た場合の救急対応など。3日~5日以上参加できることが条件で1日あたり9時間程度。扱いはボランティア相当のため交通費相当額は払われるが、謝礼は支給されない」
こうした組織委の強引なやり方に医療現場から猛反発が起こっていることを東京新聞(5月1日付)「東京五輪が社会のリスクに 今も続く医師、看護師の大量派遣依頼、現場は『不可能だ』」がこう報じている。
「『新型コロナの感染拡大に伴い、看護職の確保が不十分な状況に至っております』。大会組織委員会が日本看護協会へ送った4月9日付の文書を本紙は入手した。平身低頭、お願いや協力を依頼する文言が繰り返されていた。条件は1人当たり原則5日以上で、『早朝、深夜の場合あり』『飲食を提供予定(調整中)』と書かれている。日本看護協会は本紙の取材に『組織委への回答を公表する予定はない』と言葉を濁した」
東京新聞の取材に対して、ある看護師はこう答えた。
「資格を持ちながら離職している『潜在看護師』の活用を考えているのではないか。現場から看護師を送り込む余裕はない。もし動員したら、一般の診療に影響が出る恐れがあるから」
大会に必要な医療スタッフは当初、約1万人が見込まれた。競技場や選手村などに1日当たり最大で医師約300人、看護師約400人が必要という。真夏の大会では、熱中症も懸念される。東京都医師会は競技場とは別に、最寄り駅と競技場間に設けられる救護所用に延べ1000人の派遣を都から求められている。
東京都医師会の新井悟理事は東京新聞の取材に対し、
「地域の医師はワクチン接種で手いっぱいだ。医師資格を持つ自衛官にも接種を頼むくらい人手が足りないのに、派遣は不可能だ」
と首を振ったのだった。
大会組織委の強引なやり方は、5月5日に札幌市で行われた東京五輪のマラソンのテスト大会にも表れている。北海道と札幌市は感染が急拡大し、同日午後にまん延防止等重点措置の適用を国に要請することを決めた。それなのに、その日の午前中にマラソンのテスト大会を強行、終わった2、3時間後に要請を決めるありさまで、道民の批判を浴びたのだった。
毎日新聞(5月5日付)「五輪マラソン大会『完全自粛』呼びかけでも沿道に観戦者」が、こう伝えている。
「東京五輪のマラソンコースを使用したテスト大会『札幌チャレンジハーフマラソン』が5月5日午前、札幌市の大通り公園~五輪マラソン中間点で実施された。北海道でも新型コロナの感染拡大が深刻化しており、組織委が沿道での『密』回避のため、約700人のスタッフを動員、観戦の『完全自粛』を呼び掛けたが、沿道には観戦する人の姿が一定程度見られた。一方で、沿道では『五輪ムリ 現実見よ』と五輪開催に批判的なプラカードを掲げた人の姿も。レースのテレビ中継では、沿道の女性が『オリンピック反対』と訴える声が聞かれた場面もあった」
ネット上では、組織委だけでなく、北海道と札幌市にも批判の声が殺到した。
「北海道は4月の段階でまん防要請の基準を超えていた。3日前には過去最多の感染者が出ている。だけど、ずっと検討中のまま要請を出さずにいた。そしてテスト大会が終わった今日、まん防を要請するという。テスト大会に配慮してまん防を遅らせていたと思われても仕方ないですね」
「道知事・札幌市長・実行委員会は、政府に忖度して道民の「命を尊重すべき」を忘れている。強行突破をした責任は重大。これでクラスターが発生したらどうする。何より、このマラソンを許した直後に、学校の部活や修学旅行を制限することを、子どもたちにどう説明するつもりか。必ず、国・道・市・実に報いがあるよ」