全国47人の知事のうち「必ず開催すべき」はゼロ
3度目の緊急事態宣言が延長されて、開幕まで80日を切った東京五輪はどうなるのだろうか。
東京五輪について、全国47都道府県の知事の中で「必ず開催すべきだ」と考えている人が誰もいないことが、毎日新聞のアンケート調査でわかった。
毎日新聞(5月3日付)「東京五輪 9知事が『感染次第で中止・延期』全国知事調査」によると、アンケート調査は4月28日までに全知事から回答を得た。1問目に、住民の健康を守る立場の知事として開催をどのように考えるかを聞いたうえで、次の4項目の選択肢を示した。
(1)感染状況にかかわらず開催すべきだ。
(2)感染状況次第で中止・延期にすべきだ。
(3)すぐに中止・延期にすべきだ。
(4)わからない。
このうち、(1)と(3)を選んだ知事はゼロだった。(2)の「感染状況次第で中止・延期にすべきだ」と答えた知事は、秋田、茨城、埼玉、山梨、長野、静岡、鳥取、大分、沖縄の9人だった。
(4)の「わからない」と答えた知事は、富山、岡山、広島、宮崎、鹿児島の5人だった。残りの33知事は無回答・その他。ちなみに東京都の小池百合子知事は、選択肢から回答を選ばず、
「コロナ感染症の拡大を抑えるため、関係者と一丸となった全力で取り組んでいる」
と記載した。
毎日新聞によると、「アンケートでは41知事が開催のメリットを認めるなど大会に向けた期待は大きい」としつつ、「新型コロナウイルスの感染対策に国などが万全を期して開催できるよう望む声が上がる一方、第4波の拡大が収まらないなか、国の対策への注文や提言が多く寄せられ。大会に対する不安がにじんでいる」という。
「感染状況次第で中止・延期にすべきだ」と回答した9県知事も国への注文を具体的に挙げた。静岡県の川勝平太知事は「各国からアスリートを迎えるに当たっては感染状況を落ち着かせる必要がある。国民が『いつでも、だれでも、何度でも』検査を受けられる体制を構築するよう国に求めたい。そのことが開催国としての責務ではないか」と投げかけた。山梨県の長崎幸太郎知事は「県民の健康状態に極めて大きな深刻な影響を及ぼすような感染状況であるならば開催を延期・中止すべきだ」との考えを示した。
沖縄県の玉城デニー知事も「国民、県民の生命を守ることが最優先である。東京を中心とした各地に緊急事態宣言が発出されるなどした場合」は、中止・延期すべきだとした。
他に、中止・延期すべき状況について、秋田県の佐竹敬久知事が「全国を対象とした緊急事態宣言が出た場合など」。茨城県の大井川和彦知事が「開催が無理だと誰もが判断する状況」と回答。長野県の阿部守一知事は「開催の是非については多くの方が納得できる基準を設けて判断することが必要」と注文を付けた。
ちなみに、国や東京都のコロナ対策が不十分だとして「五輪を開く資格がない」と批判していた島根県の丸山達也知事は「開催の賛否は控える」とした。