「テンセントはテスラにも出資している」
楽天側は反発を強めている。
三木谷浩史会長兼最高経営責任者(CEO)は4月30日に東京・六本木で開かれた楽天モバイル関連のイベント出席後、記者団に「3.65%を出資いただいたが、取締役の派遣もない。テンセントはテスラにも出資している一種のベンチャーキャピタルだ」とあくまで純投資だと強調。「何をそんなに大騒ぎしているのか、まったく意味がわからない」と不快感を露わにした。
産業界では「純投資まで監視対象になるのであれば、中国企業とのビジネスなどできなくなる」と楽天に対する同情論も少なくない。
一方で「楽天は脇が甘すぎた」(ある政府関係者)との声も強い。
中国と覇権を争う米国は、中国ハイテク企業に対する締め付けを強めており、バイデン政権に移行後も対中強硬姿勢は変わっていない。テンセントは華為技術(ファーウェイ)、アリババ集団などと並ぶ中国ハイテク産業を代表する企業で、米国は強い警戒の目で同社の動向を監視し続けている。
こうした状況でテンセントの出資を受け入れた楽天の判断は「火中の栗を拾うようなもの」(前出の政府関係者)。先行投資で垂れ流す楽天モバイルの赤字を埋めるために実施した巨額増資が、米中覇権争いの真っ只中に同社を引き込んだ構図といえる。
「何を大騒ぎしているのか」と冷静を装う三木谷氏だが、その心中は穏やかではないだろう。(ジャーナリスト 済田経夫)