2030年「CO2 46%削減」目標 原発に縛られる政府、再生可能エネルギーは大丈夫か?

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福井県知事が原発再稼働に同意

   では、目標を達成していくために、何が必要か。メニューは明らかだ。(1)火力発電、とりわけ石炭火力を減らす(2)再生可能エネルギーを増やす(3)省エネ、CO2回収・貯蔵技術、CO2を出さない新たな発電など技術革新を進める――など。原子力発電の扱いをめぐっては世論が割れる。

   具体的に焦点になるのが、温室効果ガスの排出量の約4割を占める電力だ。その電源構成は、19年度で火力75.7%、再生エネルギー18.1%、原子力6.2%で、火力の半分近くが石炭だ。

   現行のエネルギー基本計画(18年策定)は、30年度の電源構成を、再生エネルギー22~24%、原発20~22%、火力56%としており、これがCO2排出量を「30年に26%減」のこれまでの目標の「裏付け」。「46%減」にするためには、電源構成も見直す必要があり、政府は主要7か国首脳会議(G7サミット)が開かれる6月に、基本計画の改定案をまとめる方針だ。

   梶山弘志経産相は4月23日の記者会見で「再生エネルギーを最大限伸ばしていく」と述べた。今のところ、政府内では再生エネの構成比を30%台後半に、現行計画より10ポイント以上上乗せする方向と伝えられる。

   原発をめぐっては、現行計画の構成比20~22%を維持する方向で議論されている。自民党内では原発推進を目指す議員連盟が安倍晋三前首相を顧問に迎え、休止中の原発の再稼働のほか、新増設やリプレース(建て替え)も訴えているなど、活動を活発化。折しも、運転開始から40年を超える原発としては初めて、福井県内の3基(美浜3号機、高浜1、2号機)について、同県の杉本達治知事が4月28日、再稼働に同意すると表明した。

   ただ、他の休止中の原発は活断層があったり、福島第一原子力発電所の事故を受けた規制強化に伴う工事が遅れたりするなど、簡単に再稼働できるわけではなく、2030年度に原発の構成比20%達成は困難との見方が強い。

   いずれにせよ、再生可能エネルギーの比率を飛躍的に高める政策が最大のポイントになるのは間違いない。(ジャーナリスト 岸井雄作)

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