食品ロス問題、若者ほど「知らない」
2015年には国際連合でSDGsの「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。その一つとして、30年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させることが盛り込まれている。
国内でも19年に食品ロス削減推進法が施行され、同年7月には「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)により、食品関連事業者から発生する事業系食品ロスを、30年度に273万トンに削減する目標を設定している。
しかし、事業系食品ロスは2012年度の331万トンから18年度でも324万トンとわずか7万トンしか減少していない。30年度の目標273万トンには、遠く及ばない。
家庭から発生する食品ロスについても、2018年に閣議決定された「第4次循環型社会形成推進基本計画」あるいは、20年3月に閣議決定された「食品ロスの削減に関する基本的な方針」に基づき、30年度に216万トンまで削減する目標を設定しているが、18年度時点で276万トン。あと60万トンと、まだまだ大幅な削減が必要だ。
消費者庁が18歳以上の男女5000人を対象にした2020年度の「消費者の意識に関する調査」によると、食品ロス問題を「知らない」と回答した人は20.6%(「あまり知らない」13.1%、まったく知らない7.5%)にのぼる。特に20歳代で34.1%、30歳代で33.1%、18~19歳で29.8%と若い世代で知識が乏しいことが明らかになっている。
食品ロスを減らすための取り組み(複数回答)としては、「残さずに食べる」が69.5%、「冷凍保存を活用する」46.4%、「賞味期限を過ぎてもすぐに捨てるのではなく、自分で食べられるか判断する」44.1%が多かった半面、「取り組んでいることはない」も10.3%にのぼった。
食品ロスの削減に取り組んでいるとの回答は、2018年度71.0%、19年度76.5%、20年度76.6%と増加基調にはあるものの、増加率は頭打ちとなっている。
2030年の目標達成に向けては、まだまだ食品ロス問題の周知徹底とともに、取り組む企業と人の拡大が重要になりそうだ。(鷲尾香一)