新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに伸長している宅配需要。なかでも、営業時間の制限や利用者の外出自粛が長引き、飲食店の出前利用が増え、フードデリバリーサービスの市場の成長が見込まれている。
日本能率協会総合研究所の調査によると、2025年度にはコロナ禍前の2倍以上になる。市場が拡大する背景には、海外系の企業や異業種からの参入が相次いでいることがある。2021年4月27日の発表。
2019年度は1700億円
日本能率協会総合研究所によると、フードデリバリーサービス市場に関する市場規模の予測は、2019年度の1700億円から、22年度には3300億円に拡大。さらに25年度には4100億円にまで成長するとみている=下のグラフ参照。
同研究所は、フードデリバリーサービスの注文金額から市場規模を推計した。それによると、フードデリバリーサービスは、2000年に大阪市で設立された夢の街創造委員会(現・株式会社出前館)が「出前館」を開始したことで市場が形成された。これまでは飲食店自らが注文を受けて配達する、いわゆる「出前」サービスが一般的だったが、サービス業者を使えば、自前で注文受付システムや配達のための体制を整えるよりも容易に宅配サービスを始められる点や、サービスサイトへの掲載による販促のコストパフォーマンスがチラシに比べて高いことなどが、飲食店に好評を博した。
デリバリーの利用者にとっては、一つのプラットフォームで複数の飲食店のメニューから選択・注文できることがメリット。2016年にはプラットフォームサービスにより単発の仕事を請け負うギグワーカーを活用した「ウーバーイーツ」が米国から上陸し、サービスを展開。EC利用の浸透やコロナ禍の巣ごもりなどが追い風となり、利用者数の増加が続いている。