「渋沢栄一は三つの『魔』を持っていた」
自分の体験を語っている人もいれば、先人のことを紹介している人もいる。作家の城山三郎さんは「渋沢栄一は三つの『魔』を持っていた」というタイトルで書いている。さすが、作家だ。「論語と算盤」という著書で有名な明治時代の実業家、渋沢栄一に対して、「魔」というマジックワードを結び付け、意表を突いている。
その「魔」とは? 吸収魔、建白魔、結合魔だという。
「学んだもの、見聞したものをどんどん吸収し、身につけてやまない。物事を立案し、企画し、それを建白してやまない。人材を発掘し、人を結びつけてやまない」
それを普通にやるのではなく、とことん徹底して、事が成るまでやめない。そういう情熱、狂気を城山さんは「魔」と呼んでいる。
そして、根本に「魔」がない限り、創業者にはなれない、とも。
NHKの大河ドラマ「青天を衝け」の主人公、渋沢栄一は旬の人だ。ふだん本を読まない従業員でも、大河ドラマは見ているだろう。城山さんの名前は省いて、さも自分が知っているように話せば、あなたを見る目も変わってくるに違いない。