財務省冷や汗 近づく予備費が枯渇する日
しかし、緊急事態宣言に追い込まれたことで政権の計算は狂い始めた。緊急事態宣言に伴い、対象地域の飲食店や娯楽施設などは休業、営業時間短縮など厳しい対応を強いられている。こうした店舗に協力金を支払うには、予備費を取り崩して財源を確保するしかない。
「現在の対象地域、期間だけでも最低1兆円の予備費の活用が必要になる。対象地域拡大などに追い込まれれば、さらに膨らむ」。官邸周辺は予備費が想定以上に早く枯渇する可能性に焦りを強めている。
これに対し自民党は子供に関する政府の政策を一元的に担う「こども庁」の創設を総選挙の公約に掲げる方針を打ち出すなど選挙対策に邁進している。
二階俊博幹事長は4月26日の記者会見で「こども庁をやっていくためにはどういうことが必要か。それに対する財源の捻出ぐらいは与党の責任で必ず実行する」と、大見栄を切ってみせた。
25日に投開票された衆参3選挙区の補欠選挙・再選挙は与党の全敗に終わった。このことも首相の発言力を弱め、与党の要求が強まる結果に影響するのは確実だ。
補正予算は「考えていない」と言い切った菅首相の決意は、「再び宣言に至らないよう全力を尽くす」という発言同様、早期撤回に追い込まれかねない。(ジャーナリスト 済田経夫)