「もうパフォーマンスはこりごりだ。本気で新型コロナウイルス対策に取り組んでほしい」
国民の誰もが願っているが、私たちに一番身近な自治体で頑張ってくれている知事さんは誰だろうか――。
慶応義塾大学の研究チームが「都道府県のコロナ対策の評価」をランキング化して、意外な「縁の下の力持ち」を明らかにしてくれた。あの一時期もてはやされた超人気知事は軒並み「アウト」の烙印を押された。
世論調査では不動の2トップ吉村知事と小池知事
「新型コロナウイルス対策で、本当に成果を上げてくれている!」
と、私たちが高い評価を下す政治家は誰か。ほんの4か月前まで、私たちはこの人々に安心と安全を託していたのだった。
朝日新聞(2020年12月30日付)が発表した世論調査「コロナ対応、評価する政治家は」によると、こんなランキング結果だった(カッコ内は名前をあげた人数)。
1位:吉村洋文・大阪府知事(378人)
2位:小池百合子・東京都知事(160人)
3位:鈴木直道・北海道知事(95人)
4位:菅義偉首相(59人)
5位:安倍晋三前首相(58人)
6位:西村康稔経済再生相(49人)
7位:河野太郎行革担当相(22人)
8位:田村憲久厚生労働相(21人)
9位:山口那津男公明党代表(15人)
10位:石破茂衆院議員(13人)
といった案配だ。
これを見ると、大阪府の吉村知事と東京都の小池知事の評価が圧倒的に高いことがわかる。ところが4か月後の現在、大阪府と東京都は変異ウイルスの猛威の前に、目も当てられない惨状になっている。
いかに私たちの評価が派手なパフォーマンスに左右されて、「ポピュリズム」(大衆迎合主義)に陥りやすいか示している。
そんななか、
「報道機関による『コロナ対応で評価する政治家ランキング』などでは知名度が重視されがちですが、データに基づいて実績を評価し、海外および国内での成功事例から学んで対策を進める必要がある」
として、47都道府県の新型コロナ対応を科学的に評価した研究論文が発表された。
慶應義塾大学商学部の濱岡豊教授(マーケティング・サイエンス学)のチームが「科学」(2021年5月号、岩波書店)に「COVID‐19対策の諸問題(4)都道府県による対策の評価試論」を掲載した。