建設業界は、慢性的な人材不足に悩まされている。東京五輪・パラリンピックによる特需や東日本大震災の復興需要などで、最近の5年間は「バブル」といわれるほど多忙を極めており、業務の効率化や働き方改革、さらにはAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の技術力の進展で凌いできた。コロナ禍で急速に広まった非接触やリモート技術もある。建設業界も、キーワードは「DX」「ICT化」だ。
そんな建設業界の「お悩み」を解消する、次世代を担う最先端技術と製品やサービスなどを紹介する業界最大級の展示会「建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2021)」が2021年5月12日~14日、幕張メッセで開かれ、建設機械や測量機器をけん引する企業、約300社が一堂に会す。会社ウォッチ編集部が探ってみた。
コロナ禍での非接触やリモート技術をICT化
建設業界は、コロナ禍にあっても業績は堅調ではあるものの、人材の高齢化や慢性的な人手不足、DX化の遅れなどの課題を前に、喜んでばかりいられない状況にある。
2021年の建設・測量生産性向上展では、業務効率や働き方改革に向けてのスピードアップと生産性の向上、コロナ禍での非接触やリモート技術などをはじめとするICT化や人材不足の解消など、建設業界が抱えている課題への解決策につながる取り組みを披露する。
今年は、前回(2019年)出展社の219社から、大きく増えて約300社(展示ブース約1400コマ)という過去最大規模での開催を予定している。
建設機械大手の小松製作所、日立建機やキャタピラージャパン、コベルコ建機、住友建機、クボタ、ヤンマー建機など。また、測量機器業界を代表するトプコン、ニコン・トリンブル、ライカジオシステムズなどが出展する。
それぞれオリジナル製品の発表や、最新ドローンの活用など「i-Construction」や建設業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)のカギになる展示が集結。建設業界(建築・土木)と測量業界という、親和性の高い二つの業界のコラボレーションの実現は、この展示会の見どころの一つになっている。
「建設DX」を推進する製品が集結
建設業界が直面する課題は、主に人手不足と新型コロナウイルスへの対応、DX化の三つだ。
建設業の就業者数は2019年に499万人と、ピーク時(1997年)から約27%減った(総務省調べ)。55歳以上が全体の3分の1を超えており、(1)高齢化に伴う若手の担い手不足は深刻だ。(2)新型コロナウイルス感染症対策では、コロナ禍の「3密」を回避するため、公共工事の現場で非接触 リモート型の働き方への転換が求められている。さらに建設業界のデジタル化、非接触・ リモート化へと転換させるため、国土交通省ではDX推進本部を設置。公共事業や社会資本の維持管理に(3)DXを取り入れ、ビジネスモデルの変革の取り組みを紹介する。
前回(2019年)の「建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」約4万人が集まった!
「建設現場のデジタルトランスフォーメーションの実現へ」(小松製作所執行役員の四家千佳史氏)や、日立建機のICTソリューションと山口県光市の川畑建設が担い手不足の課題に対して人材不足を補うためにICT最新機器を投入した事例紹介。「コベルコ建機のICTへの取り組み ~ICT時代を生き抜くための建機の役割~」(コベルコ建機 酒井満氏などの、注目のセミナーを用意。
CSPI-EXPO 実行委員会の担当者は、
「業界最先端の製品、技術、サービスが展示され、出展社と来場者の商談の場となるほか、建設業界や測量業界の課題解決につながる、さまざまなセミナーも予定しています。今回は、コロナ禍や建設業界の働き方改革によって、各企業が力を入れている建設DXを推し進める製品がたくさん集まっています。さらに、近い将来インフラ整備点検の常識となり得る最先端のドローン関連製品も出展しており、今後の建設業界のトレンドを把握するうえでも必要不可欠な展示会になっています」
と、力を入れている。