今、流行の「ジョブ」型 長く勤めることに価値はない! 給料アップはこんな人(城繁幸)

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   最近「ジョブ化」というワードを二日に一度はニュースのヘッドラインで目にするように思う。筆者自身、「目標管理」や「成果主義」以来の強いトレンドを実感中だ。

※ 参考リンク 「NTTが『ジョブ型』人事制度を全管理職に拡大。新規事業の加速なるか」(ニュースイッチ 2021年4月21日付)

   むろん、きっかけはコロナ禍におけるリモートワーク対応だが、根底にあるのは時代の要請だったように思う。そういうと、わかりにくいという人も多いだろうが、簡単に言えば日本は20年ほど前から「ジョブの時代」に突入していたというのが筆者のスタンスだ。

  • 「ジョブの時代」の働き方は?
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ホリエモン発言は本質を突いていた

   2年ほど前にホリエモンこと堀江貴文氏が、勤続12年で手取り14万円という人に対して、

「終わってるのはお前だ」

と発言し波紋を呼んだことがあった。

   だが、その後の氏の解説も含めれば、時代の本質を突いたコメントといっていいだろう。

※ 参考リンク 「『手取り14万? お前が終わってんだよ』について解説します」(YouTube 2019年10月11日付)

   簡単に言えば「長く勤めること自体に、もはや価値はなく、より高い報酬を手にするには自身で成長するしかない」ということだ。

   これはジョブ型の本質と言っていい。いくらマジメに勤め上げても自身がより付加価値の高い業務につかない以上は、賃金は上がらない。

   そういうジョブの時代がいつのまにか日本に到来していたけど、みんなで見て見ぬふりをして年功序列ごっこをしていたというのが「失われた20年」の本質だろう。

パート・アルバイトの格差が是正される!?

   ジョブの世界では、止まっている人は落ちていく――。

   人によっては「今の賃金水準で満足だ」という人も(特にすでに年功序列で昇給している中高年には)いるかもしれない。でも、みんながより良い待遇を目指して前に進むなか、一人だけ立ち止まることは事実上の後退だ。現状の賃金水準を維持できると期待はしないほうがいい。

   むしろ「ジョブ化」にともない、給料に見合った仕事をしていないと判断されれば、年功賃金をはく奪されるだろう。

   一方で、何らかの事情で年功が積みづらかった人々にとっては、ジョブの世界は果てしなく公平だ。結婚、出産を機に家庭に入った女性や、就職氷河期でキャリアが形成できなかった非正規雇用労働者が代表だ。

   長く進まなかった格差の是正が、ジョブ化により大きく改善されることだろう。

   最後に、

「でも、ジョブ化なんて想像もつかない、不安で不安でしょうがない」

という人に。

   じつは日本でも雇用労働者の3割ほどは以前からジョブ化されている。パートや派遣といった非正規雇用労働者がそうだ。

   彼らは勤続年数や学歴ではなく担当する業務に応じた処遇を受け取っている。たとえばコンビニのレジをうつ従業員は、高校生も大学生も主婦も主夫も、同じ仕事をしていれば同じ時給だ。

   わざわざ自治体が「氷河期世代救済のための公務員採用枠」を作らねばならない世界より、ジョブの世界のほうが、よほど健全で希望に満ちていると考えるのは筆者だけだろうか。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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