百貨店、コロナ禍前に戻る時期は2023年までかかる
百貨店もダメージが大きかった。高島屋の21年2月期連結決算は、売上高に当たる営業収益が前期比25.9%減の6808億円、最終(当期)損益は339億円の赤字(前期は160億円の黒字)と、2004年2月期以来17年ぶりに最終赤字に転落した。
J・フロントの同期の連結最終損益も261億円の赤字(前期は212億円の黒字)と、2007年にJ・フロントリテイリングとなってから初めての通期赤字。セブン&アイHD傘下のそごう・西武は本業のもうけを示す営業損益が66億円の赤字に転落した。
また、最大手の三越伊勢丹HDは21年3月期の見通しを、売上高8000億円(前期比28.5%減)、営業損益が330億円の赤字(前期は156億円の黒字)、最終(当期)損益は450億円の赤字(前期は111億円の赤字)としている。
いずれにせよ、「コロナ流行前の状況に戻る時期は2023年くらいまでかかるのではないか」(高島屋の村田善郎社長)というように、簡単に回復は期待できない。
小売業界の先行きは、緊急事態宣言の再発動などコロナ禍の影響がまだ続きそうで、厳しい環境のなか、消費者のニーズをつかんだ業態、個別各社と、そうでない業態、各社の差が一段と拡大しそうだ。(ジャーナリスト 岸井雄作)