コロナ禍の巣ごもり生活で、入社1年目、2年目の若手社員の貯蓄志向が高まっていることが、ソニー生命保険の「社会人1年目と2年目の意識調査」でわかった。2021年4月21日の発表。
社会人1年目はしっかり者が多いようで、また2年生も将来の目標貯蓄額が大幅に増えていた。
「投資に回す」1年生は16.4%、2年生を上回る
調査では、まず社会人2年生に、就職した会社でどのくらいの期間、働いていたいか聞いたところ、「すでに辞めたい」と答えた人が4人に1人(25%)を占めてトップだった。前年の23.4%から、やや上昇した。
また、2年生がこの1年間でもっともガッカリしたことは何だったかを聞くと、「給料が少なかった」が29.4%で最も高く、次いで「ボーナスが少なかった」の21.2%で、給料とボーナスが期待ハズレだったことがわかった。
3位には「同期で集まる機会が少なかった」(20.0%)、4位は「仕事を教えてもらう機会が少なかった」(19.8%)となり、これは新型コロナウイルスの感染拡大で、入社早々テレワークなど在宅勤務を余儀なくされたためとみられる。
社会人1年生に初任給の使い道を聞くと、「貯蓄に回す」が56.0%でトップ。次いで、「生活費(食費など)に充てる」(36.6%)、「親への贈り物を買う」(34.8%)、「自分にちょっと良い物を買う」(30.6%)、「親をご馳走につれていく」(29.6%)となった。
また、2年生に1年目の初任給をどう使ったか聞くと、「貯蓄に回す」が46.8%で最も高く、次いで「生活費(食費など)に充てる」の32.4%、「親への贈り物を買う」の25.4%、「自分にちょっと良い物を買う」23.6%、「親をご馳走につれていく」18.6%と続いた。
今回の調査では、2年生よりも1年生のほうが「貯蓄に回す」との答えが10ポイント近く高く、また「親をご馳走につれていく」は10ポイントを上回った。
さらに「投資に回す」との回答が、1年生で16.4%あり、2年生の6.2%を、やはり10ポイント以上も上回った。
社会人2年生に1年目の貯蓄額を聞いたところ、「100万円以上」が29.6%で最も多く、次いで「50万円~100万円未満」の20.8%。平均は58万円だった=下図参照。
前年調査の2年生の平均貯蓄額は45万円で、13万円増加した。「(新型コロナウイルスの感染拡大の影響で)外出自粛の生活が続き、出費がかさまなかった結果、浮いたお金を貯蓄に回した人が多かったのではないか」と、ソニー生命はみている。
また2年生には、30歳時点の目標貯蓄額を質問。「1000万円~2000万円未満」(25.2%)や「500万円~600万円未満」(19.8%)に多くの回答が集まり、平均は740万円だった=下図参照。 前年調査の平均額は614万円で、126万円の大幅増となった。1年目をコロナ禍の中で過ごした2年生のあいだでは貯蓄額が増したばかりか、貯蓄志向の高まりが明らかになった。
今回の調査結果について、ソニーフィナンシャルホールディングスの金融市場調査部シニアアナリスト、石川久美子さんは、2年生のあいだで「すでに(会社を)辞めたい」という回答が前年より増えたことなどを例に、「一気にテレワークが進んだことで先輩社員ですら(働き方などの)正解がわからないなか、新社会人を取り巻く職場環境は厳しいものになったことは間違いなさそう」と分析した。
また、社会人1年生や2年生の貯蓄意識」が、前年より大きく高まったことについても石川さんは「コロナ禍という先の見えない不安の反映」である可能性を指摘した。
なお調査は、2021年4月21日に実施。有効回答は社会人1、2年生の男女500人ずつ、計1000人。