新型コロナウイルスによる感染拡大の中で再び迎えるゴールデンウイーク(2021年4月25日~5月5日)。JTBの「GWの旅行を取り巻く環境と1泊以上の旅行に出かける人の意識調査」によると、若い世代ほど旅行意欲が高く、また期間は短く1泊が多数。旅行先も居住地に近い「域内」志向の強いことがわかった。2021年4月22日に発表した。
国や自治体による移動の自粛要請などを受け、今回の調査は旅行者数などの推計は行わず、2万人を対象に4月9日~14日に行った「旅行動向アンケート」や、定点で実施している意識調査などから、コロナ禍のGWの旅行の傾向についてまとめた。
それによると、
若い年代ほど旅行の意向高く
調査によると、GW期間中に旅行に行くか聞いたところ、「行く」(「行く」と「たぶん行く」の合計)と回答した人は10.3%。JTBによると、コロナ禍前の2019年のGWの旅行意向は26.3%、18年は25.2%と、25%程度で推移しており、21年は例年の半分以下になっていた。
男女とも若い年代ほど旅行意向が高くなる傾向で、29歳以下では男性19.1%、女性16.5%が「行く」と回答したが、60歳以上では男性6.9%、女性3.7%にとどまった。
一方、「行かない」(「行かない」と「たぶん行かない」の合計)と回答した人は89.7%。その理由としては「「新型コロナ感染症がまだ収束していないから/拡大の懸念があるから」が63.9%で最も多く、「GWは混雑するから」が22.4%、「家でのんびりしたいので」の15.4%などが続いた。
「GWに旅行に行く/たぶん行く」と回答した人のうち、1535人を抽出して旅行内容を詳細に聞くと、「全体的な傾向として旅行を予定している人は、新型コロナウイルスの感染防止を意識して内容を検討している様子がうかがえた」と、JTBは指摘している。
GWに旅行へ「行く」人の旅行日数は、「1泊」が39.2%と最も多く、次いで「2泊」(28.6%)、「3泊」(16.3%)と続いた。3泊までの旅行が全体の8割以上を占めており、長期の連休の中だが、「短期旅行の傾向が表れている」という。
また、旅行先を選らんだ理由を聞くと、「行きたい場所があるので」(36.2%)が最も多かったが、「自家用車やレンタカーで行ける場所なので」(24.1%)、「自然が多いなど3密を回避しやすい地域なので」(22.9%)も上位に並び、感染対策が重視されていた。
JTBは、「居住地別に旅行先を見ると、全国的に旅行先と居住地が同じ地方、つまり域内の旅行の割合が高くなった。域内志向は2020~21年の年末年始の調査結果と比べて強まる傾向が見られた」という。
今年の予約状況は2019年比で75%減
さらに、GW中に旅行に「行く」人が旅行計画で特別に考慮したことについて聞くと、最も多かったのは「公共交通機関を使わずに、自家用車やレンタカーを使う」で36.5%。次いで「少人数での旅行にとどめる」(32.0%)、「家族・親族や親しい友人以外には会わない」(30.6%)、「感染者数が増加傾向の地域は避ける」(21.8%)、「人が多数移動する時間を避ける」(19.5%)「部屋食や個室で食事ができる施設を選ぶ」(19.5%)となった。
また今後、新規感染者数の増加や、国あるいは自治体からの外出や移動の自粛要請が強化された場合の対応については、「今より感染者数が増えた時点で旅行は中止する」(8.1%)、「状況・条件によっては旅行を中止する」(43.5%)を合わせ51.6%と、半数以上が中止を視野に計画を立てていた。一方、「状況に関係なく当初の予定どおり旅行する」も31.8%となった。
JTBによると、同社の宿泊・国内企画商品のGWの予約状況は、緊急事態宣言中であった2020年よりは伸びているものの、2019年と比べて75%減と大きく減っている。