4月になり、新しく社会人になったり、新しい部署で働いたりしている人も多いだろう。また、新年度を期して「心機一転」、仕事に打ち込もうと気持ちを新たにした人もいるに違いない。そんな人のために、【4月! 決めるスタートダッシュ】というテーマで、今月は仕事に役立ちそうな本を随時紹介していきたい。
女性向けの仕事術の本は珍しい。それも一般企業で働く、営業系のOLが書いた本として注目されているのが、本書「『一緒に働きたい』と言われる人の仕事術」だ。ちょっとしたことで「素敵女子」になる50のルールを披露している。2021年4月21日に刊行されたばかりだ。
「『一緒に働きたい』と言われる人の仕事術」(aya著)自由国民社
フォロワー数25万人超の現役OLが書いた
著者のayaさんは、インフラ系企業で営業職を務める現役OL。一人暮らし10年目、社会人5年目。自身の経験をもとにしたお仕事術や印象アップの秘訣、日々の過ごし方などを投稿しているInstagramが支持を集め、開始からおよそ1年4か月でフォロワー数25万人を突破。また、OLの視点から通勤服などのプロデュースも手掛ける。
Instagramに寄せられた質問や相談は、「ビジネス誌や雑誌には載っていない、会社でのアレコレ」に関するものが多かったという。本書には、そうした「好印象を与える小さな仕事術」がたくさん収められている。
4つの章からなるが、第1章は「簡単にできる! オフィスでの印象アップ」、第2章は「第一印象は一度しかつくれない! 取引先での印象アップ」、第3章は「明日からできる! 好印象を残す仕事術」、第4章は「美容&メンタルのコツ」という構成だ。
仕事術に関する章は1章のみで、他はいかに好印象を与え、美容とメンタルを維持するかに充てられている。なるほど、女性の関心はこのあたりにあるのか、と思った。
「大人可愛いオフィスカジュアル」として推奨するファッションは、こんな感じだ。
「フォーマルな雰囲気のネイビーや黒のシンプルなものは必須。少し慣れてきたら柄物ジャケットを買ってみて。内勤の日も多いなら、シンプルなものは2着、柄物は1着持っていれば十分」
「シャツやVネックニットは人とかぶりがち。差をつけるなら、断然ウエストマークのトップスです。細見えもするので露出の増える夏にも欠かせません」
同じミスをしない秘密
外見や言葉遣い、マナーに気を遣うのはもちろんだが、「二度と同じミスをしない私の秘密」という項目を読み、「お主、できるな」と感心した。
Ayaさんは、新入社員の頃、「どうしたらミスが減るんだろう......」と悩んだ結果、一つの方法にたどり着いたという。先輩や上司からの指摘事項をすべて蓄積してチェックリストにするというものだ。
指摘されたことを表にまとめ、Excel形式で保存する。反省点まで記載する。フィルター設定をすると、すぐにチェックリストを見ることができる。
仕事術でも参考になることが多い。TO DO リストの作り方は以下のとおりだ。
・どんな小さな仕事も列挙する
・所要時間と優先順位を割り振る
・終わったタスクも、あえて残す
・定時1時間前には残業判断を
・翌日のTO DO リストの半分は前日にできている
早く正確な文書を作る裏ワザにも感心した。Wordで書類のテンプレートを作成し、Excelで日時や送り先の会社名、氏名、送付物や部数を表にまとめる。WordとExcelを紐づけるのがポイントだ。Excelの内容をWordに差し込む。
パソコンのさまざまな時短術も紹介している。
外見に好感が持て、ビジネスマナーもわきまえ、仕事もできるのだから、「一緒に働きたい」と言われるのは、当然だろう。女性向けと思っていたが、男性が読んでも参考になる内容だ。
スーパーOLのようなayaさんが、最後の章で、1日のルーティンを明かしている。起床は8時。「1分1秒でも長く寝ていたいので、可能な限り時短を目指しています。オールインワン、と名の付くケア用品は手放せません。朝ごはんは会社についてから食べることも......」。午前中はメールチェックに始まり、TO DO リストの作成。お昼休憩の後、午後は商談内容を上司に報告したり、打ち合わせに参加したり。後輩の指導のため、一緒に現場に行くこともある。退社したら、2日に1回ほど21時を目途にInstagramを更新する。
男性からはOLは謎のような存在だ。本書を読み、ファッションを楽しみながら、堅実に仕事をする姿を見せれば、誰もが好感を持つだろう。
ビジネスマナーやビジネス小物の使い方は、若手の男性社員の指導にも使えそうだ。
「『一緒に働きたい』と言われる人の仕事術」
aya著
自由国民社
1430円(税込)