半数近くの企業が「70歳定年」の準備不足
しかし、準備が進まない企業が多いのが実情だ。厚生労働省の調査によると、66歳以上でも継続して働ける企業は昨年6月1日時点で3社に1社にとどまる。
帝国データバンクが2021年3月15日発表した「70歳就業法」に関する企業の意識調査(調査対象:全国2万3702社)によると、「対応を考えていない」と回答した企業が32.4%、「分からない」として対応を決めかねている企業が14.9%と、半数近くが何の手も打っていないことがわかった=図表2参照。
各企業からはこんな回答があった。
「技術の伝承という観点から継続雇用をしている」(ニット・レース染色整理、福井県)
「働けるうちは何歳でも雇用していくというモットーにより70 歳以上の社員も元気に働いている」(石油卸売、兵庫県)
などと前向きに高年齢者を雇用している企業もあれば、高齢者の雇用継続に否定的な企業も多かった。
「マッチングが非常に難しく断念している」(ソフト受託開発、富山県)
「ドライバーという職種柄、安全の根幹である認知、判断、動作の基本操作への影響が表れる可能性があり、慎重にならざるを得ない」(一般貨物自動車運送、群馬県)
「高齢者にとって体力的に厳しい業種なので希望者が少ない」(各種食料品小売、岐阜県)
また、一般論として、
「業種、業態もさまざまであり、一括りに 70 歳までの就業機会を確保するのは厳しいのでは」(和洋紙卸売、茨城県)
といった意見も多数みられた。
(福田和郎)