4月スタート「70歳定年」に賛否両論! 高齢者は「肉体労働最高!」若手は「残念なシニアにならないで」(2)

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   「人生100年時代」を迎え、ついに定年が70歳になった。

   今年(2021年)4月1日から「70歳就業法」とも呼ばれる改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業に対して働くことを希望する人には、就業の機会を与えることが努力目標になったのだ。

「そんな歳まで働きたくないよ。悠々自適の生活を送りたい」

と思っているアナタ、その考えは少数派ですよ。

   じつはかなり多くのシニアが元気なうちはいつまでも働き続けたいと思っているのだ。そんなシニアたちの声を聞くと――。

  • 肉体労働は楽しい
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健康によく、ボケ防止に最適な肉体労働

   「70歳定年」についてネット上では賛否両論、さまざまな意見があふれている。まず、元気に働いている人からはこんな声が。

「健康的には適度な肉体労働がよい。体を動かし、ボケ防止にもなる。自分は長くオフィスワークをし、管理職をした経験もあるが、現在は肉体労働。健康診断の数値が格段に良くなって驚いた。周りにも若返ったと言われる。プライドと知識だけの人は肉体労働を格下に見るが、大きな間違いだ。世の中のすべてを支えているのは肉体労働ですよ。肉体労働がビルや道路をつくり、電車を走らせ、物流を成り立たせている。私自身この歳になって気づいた。新しい世界が見えてくると思いますよ」
「仕事があるってことはあり難い。60歳すぎて何もせず家にいたらつまらないです。私は60代半ばですが、レストランで走り回って仕事をしています。週5日、1日5時間。体にもいいし、給与も貰えます。一石二鳥です」
「年収200万円くらいの自営業だけど、ソコソコ楽で70歳まで続けられそうな俺。正社員が安泰だなんてウソだと思っている」
「私も自営業なので、年金が手薄だから元気なうちは働きたい。自営業の強みは定年のないこと。新しい業界は若い人に任せ、古い業界にとどまれば若い人の邪魔にならない。古い業界の斜陽化とともに年を取っていけばいいかな」
「現役時代は完全にリタイアすることが魅力ある老後と考えていた。しかし、65歳から年金を貰い始めて現役時代の半分の働き方と半分の給料で、ある程度健康ならば十分に悠々自適だと思うようになった。空いた時間に趣味をやり、好きなことを楽しめるので体力的にも余裕に感じる。妻と行く海外旅行が夢だったが、コロナで行けなくなったし、ちょうどいい」

   70歳近くまで職場で働くコツを、こう語る人も。

「やっぱり年下の上司がうれしいと思える、人間としての器がなきゃうまくはいかないよね。昔はどうのと自慢話するようじゃ働いてもうまくは行かない。私の上司も20歳以上年下ですが、意見を求めて来るし、こちらからも言う。もちろん指示にちゃんと従うし、回りの人にも『よし、やろうよ』って盛り立てることも忘れない」

第二の人生に「専業主夫」を選択

   一方、若手に迷惑をかけるからと、自ら身を引いた人もいた。

「老後資金に心配のない人は、いつまでも会社にしがみつくのではなく、さっさと引退したほうがよいと思う。私は派遣や請負の多い職場で60歳の定年を迎えたが、継続雇用すると弱い立場の方にしわ寄せがいくことになるのが判っていたので、継続を希望せず引退した。退職金や個人年金、蓄えも一定金額あったため食うには困らないと思った。あくまで個人の自由だが、余裕のある人は私のような選択肢も検討してはいかが?実務能力がないのに居残ると疎まれますよ」
リタイア後「専業主夫」になった人も
リタイア後「専業主夫」になった人も

   また、「第二の人生」として「主夫」の道を選んだ人もいた。

「私は先月60歳で定年退職しました。継続雇用の選択肢もありましたが、これ以上安月給で搾取されるのが嫌でスッパリと無職の道を選びました。よく皆さんが、仕事しないとヒマで、ヒマで、ボケまっしぐらですよと、ご注進下さいますが、妻がパートに出ているため、家事一切やることになり、全然ヒマではありません。献立を考えスーパーに走る毎日も、天気を気にしながら洗濯物を干すこともなかなか大変、かつ楽しいものですよ。悠々ではありませんが、自適な毎日を過ごしておりますよ」

   そもそも「70歳就業法」がおかしいと、疑問を投げかける声が多かった。

「『人生100年時代』『70歳まで現役』などというキレイな言葉でおだてて、国のホンネは70歳すぎまで働かせて年金の受給開始を遅らせたい。その何割かは労働者として年金制度を支えたあげく、受給前に死んでくれるとありがたいという計算です。そのうち定年そのものをなくすのが国の目的でしょう」
「単純な公園の清掃業か、マンション管理人くらいなら何とかできるでしょう。しかし専門的な清掃業務はもう無理。そんなもんです。なぜそんなに高齢者を働かせたいのかわからない。『70歳まで働ける社会』と『70歳まで働かなければやっていけない社会』は別物でしょう」

若手が大迷惑する「働かないオジサン」

   40代、50代の人たちからは、さまざまな声があった。

「自分の親世代はつくづく幸せだと感じます。確か58歳から年金貰えるからとさっさと退職して、はや30年以上のんびり暮らしています。『俺たちは苦労した』と言いたいことを言って通る世代。今の先輩たちとは全然違うなと感じます。70歳まで働くなんて...... 何ができるの? 早期に死んでしまったら? 子供たち世代が少しでも年金を多く受領できたらいいのに。そんな確約があるなら 70歳まで頑張れるけどな」
「入社した頃は55歳定年から60歳定年への移行期、55歳を超えると本社から出向という時代。それが今65歳に伸び、今や70歳が議論されている。入社した頃は将来設計があり、60歳までには年金を含めていくらか自立できるくらい貯蓄はしてとか夢はあった。しかし、年金開始も定年も徐々に伸びて、いったいどこがゴール? という終わりのないマラソンを走らされている気持ちだ。モチベーションなんか保てませんね」
「いったい人間はいつまで働くのか、正直わかんない、昨年94歳で亡くなったひい爺さんに『うちのオヤジが引退したがっている』と相談したら、『できるうちは続けなさい。必要とされ働ける、こんな素晴らしいことがあるか。自分だって声がかかればまだ働きたい』と言っていた。自分が年寄りになった時にそう思えるかどうか自信がない」
「自分は50代後半。65歳までカウントダウンの毎日。仕事はもう十分やったし、管理職も務めたし、それより65歳から何をやるかが大切。いまはテイクオフに備えて二足のわらじ。経験からいうと、できれば45歳、遅くとも50歳過ぎたら、自分の本当にやりたいことが見つけられるかどうかがカギだ。私は必要な国家資格もとってスタンバイ。65歳からは趣味と実益を兼ねたライフワークをしたい」

   70歳まで働くのはいいが、「残念なシニア」にならないでほしいという声が、職場の後輩から寄せられている。

「職場の再雇用のおじさんは仕事中ずっとパソコンで自分史を書いている。そのまま残業。何か言おうものなら過去の功績を長々と語り出す。もう管理職も注意しない」
「会社では65歳以上の方が清掃や郵便配達などで働かれています。たまに簡単な工事もされるのですが、脚立の上でフラフラして怖いです。重い荷物をもつのもつらそうです」
「職場では、出世コースから外れた50歳代半ばの人が、すでに溢れかえっている。口は動かすが手は動かさない。ごく少数のスゴイ仕事のできる50歳代の管理職だけで回っているのが現実。そこに定年を迎えた60代の人が増えることになるのですか。70歳まで定年を引き伸ばすのはよいけど、必要とされている人物かそうでないかの見極めはしっかりやってほしいです」

(福田和郎)

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