変異ウイルスの爆発的な感染拡大を抑えようと、政府は2021年4月23日、新型コロナウイルスに関する対策本部会議を開き、東京都、大阪府、京都府、兵庫県の4都府県に3度目の緊急事態宣言を発令する方針だ。
2度目の宣言を解除してから、わずか1か月というお粗末な対応で、東京五輪・パラリンピックを何が何でも開催したいと、優先したことが裏目に出た。それでもIOC(国際オリンピック委員会)や政府は五輪を強行するつもりらしい。
IOCのバッハ会長は、
「宣言と五輪は関係ない」
と公言して、日本国民の神経を逆なでした。東京五輪を、本当に開くつもりなのか。
バッハ会長の訪日に合わせた緊急事態宣言の日程
今回の3度目の緊急事態宣言の陰には、東京五輪強行の狙いが露骨に出ていると指摘するのは、スポーツニッポンだ。2021年4月22日付の記事にズバリ、「東京、短期の緊急事態宣言のワケは『バッハ来日シフト』 会長来る5月17日までに抑え込みたい」という見出しをつけた。こう報じる。
政府は21日、新型コロナウイルス感染が広がる東京都、大阪府、兵庫県に対する緊急事態宣言発令をあす23日の対策本部会合で決める方針を固めた。期間は今月下旬からの大型連休を含める方針。
「東京都は4月21日夜、緊急事態宣言の発令を政府に要請した。都政関係者によると、期間は『今月29日から最長で5月16日まで』など複数案を検討。『今月29日~5月9日』を『強化期間』とする案も浮上。何を強化するかは不明だ。『短期集中』を掲げる小池百合子知事の意向が強く働いたが、宣言期間中に強化期間を設けるという二重の期間設定となれば、都民や事業者は混乱しそうだ」
スポーツニッポンが露骨な「バッハ来日シフト」と指摘するのは、次の理由からだ。
「過去2回の宣言はいずれも期間を1か月として発令。(しかも)2回とも延長された。政府の感染症対策分科会の尾身茂会長は国会で『個人的には最低3週間は必要』との認識を示した。こうしたことを考えると『今月29日~5月16日』の18日間はあまりに短い。背景として指摘されるのが、5月17日の来日で調整される国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の日程に合わせた『バッハシフト』だ」
バッハ会長は5月17日に来日。被爆地の広島市で聖火リレー式典に出席する。18日には東京で菅義偉首相、東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長、小池百合子都知事との会談に臨む。
改めて「安全・安心な東京五輪開催」を内外にアピールする段取りになっているのだ。バッハ会長の来日時まで緊急事態宣言が続いていては、目も当てられない事態になるわけだ。
スポーツニッポンは、こう結んでいる。
「3度目の宣言に国民は辟易(へきえき)。一方で最後の宣言として徹底的な感染抑え込みを求める声も多い。『短期集中』に名を借りた五輪猛進の姿勢。国民感情からますます乖離(かいり)していきそうだ」