【SDGs実践編】撥水加工から有害化学物質を除去! KEENが環境負荷の低減を目指し世界中に「PFCフリー」の技術を公開

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   世界規模で地球について考える「アースデイ」にあたる2021年4月22日を前に、03年創業で、汎用性があるオリジナルな商品で人気のアウトドア・シューズブランド「KEEN(キーン)」 (米オレゴン州ポートランド)が、地球環境や人々の健康への負荷を低減するため、有害化学物質である「PFCs」を排除する「PFCフリー」のソリューションを1日、一般公開した。

   アウトドア・シューズ業界が、2025年までに「PFCs」の排除を達成するのが目的。KEENは次世代に豊かな自然環境を残していくため、2012年から「Detox the Planet イニシアティブ」をスタート。サプライチェーンから「PFCs」を特定、除去し、それらを安全かつ効果的な他の手段に置き換えた環境負荷を最小限にした製品づくりに、積極的に取り組んでいる。

  • KEENの「PFCフリー」のアウトドア・シューズは地球環境や人の健康への負荷を軽減する
    KEENの「PFCフリー」のアウトドア・シューズは地球環境や人の健康への負荷を軽減する
  • KEENの「PFCフリー」のアウトドア・シューズは地球環境や人の健康への負荷を軽減する

約5000種類ものフッ素化合物が地球環境や健康に害を及ぼす

   KEENは地球環境について考え、共にアクションを起こして地球をデトックスする「Detox the Planet月間」を、2021年4月に実施。その第1弾として、シューズの撥水加工プロセスから、環境や健康に害を及ぼす有害化学物質である「PFCs」を排除する「PFCフリー」のシューズの製造過程として、GREEN PAPERを一般公開した。

   撥水加工は、アウトドア業界では欠かすことのできない技術で、シューズでも多くの製品に採用されている。その撥水加工に一般的に使用されているPFCs(パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質)といわれる、約5000種類ものフッ素化合物の総称で、自然界で分解されにくいことから「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」とも呼ばれ ている。

   現在では、ファストフードの包装紙や飲料水から、アウトドアウェアやシューズに一般的に使われている家具や調理器具などの耐久撥水加工まで、あらゆるものに含まれている。

   PFCsが厄介なのは、それらに定着し続けるのではなく、多くの場合は汚染された水や廃棄物、また化学物質や部品、完成品の使用を通じて少しずつ環境の中に排出され、かつ容易に拡散していくことにある。

   PFCsはその耐性の高さゆえに、ひと度環境中に排出されても分解されにくく、さらには地球環境や人の健康に害を及ぼすことがわかっているという。

   非営利の広報・啓蒙団体である環境ワーキンググループが今年1月、SCIENTIFIC AMERICAN誌に掲載した研究によると、「これらのPFCsが自然界で分解されるには、数百年、あるいは数千年かかることすらある。また、体内に蓄積されて健康被害を引き起こす可能性もある」と指摘した。

一日も早い「PFCフリー」実現に、KEENの技術を共有して!

   そうしたなか、KEENは部品や材料で不必要に使用されているPFCsを、2014年から特定、除去してきた。具体的には、最小部品に至るまで、すべての仕様書を完全に精査してベンダーやパートナーの協力のもと、最初の1年でサプライチェーン内から約 65%のPFCsを速やかに除去。残りの35%はさらに3年、約1万時間という膨大な時間とリソースを投入してPFCsを用いない、安全で効果的、かつ現実的な撥水ソリューションを開発した。

   2014年に「PFCフリー」の取り組みを開始。KEENでは、撥水加工のPFCsの代わりに、Rudolfと3Mの大手化学メーカー2社から、PFCsを含まない安全で効果的なDWR(耐久性撥水)処理剤を「グリーン・オルタナティブ」として調達している。

   これにより、2018年以降に製造したKEENのシューズは、自信を持って「PFCフリー」と言えるようになったという。

   KEEN US ジェネラル・マネージャー、エリック・バーバンク氏は、

「知的財産が、公益に資するイノベーションを阻害してしまうことがあります」

と指摘。「PFCフリー」の技術を一般公開することに、

「私たちは7年にわたり、性能で妥協することなく製品からPFCsを排除するためのプロセスを研究、開発、改良してきました。そして現在、KEENのシューズの 95 %以上で PFC フリーを実現し、その撥水効果も実証済みです。
サプライチェーンと製品からPFCsを排除することにより、これまで180トンもの PFCsを削減することができました。他ブランドも一日も早くPFCフリーを実現できるよう、KEENの取り組みを共有していければと考えました。
PFCsを排除することは容易ではありません。これは絶え間なく続く戦いであり、そして人体への影響や環境負荷を考えると、一刻の猶予もない状況です。モノづくりに携わる私たちが企業の壁を越えて協力することで、ポジティブな影響を加速させ、より良い地球環境へと変えることができると信じています」

と、コメントを寄せている。

清水一守(しみず・かずもり)
清水一守(しみず・かずもり)
一般社団法人SDGs大学 代表理事/公益財団法人日本ユネスコ協会連盟・ユネスコクラブ日本ライン 事務局長/英国CMIサスティナビリティ(CSR)プラクティショナー資格/相続診断士
日本大学文理学部を卒業。大学では体育を専攻。卒業後、家業である食品販売店を継ぐも新聞販売店に経営転換。地域のまちづくりとして中山道赤坂宿のブランド化を推進した。その後CSR(企業の社会的責任)の重要性を学び、2018年7月から名城大学で「東海SDGsプラットフォーム」として月2回の勉強会を開催中。SDGsを広めるための学びの場として2019年9月に一般社団法人SDGs大学を開校。現在、SDGs認定資格講座やSDGsイベントなどを開催中。
岐阜県出身、1960年生まれ。
一般社団法人SDGs大学
SDGsを広めるために、誰もが伝道師となるような認定資格講座を3段階で設定。SDGsを学ぶきっかけの資格としてSDGsカタリストから始まり、その上位資格としてのアドバイザー資格、さらにカタリストを育成するカタリストトレーナー資格を設け、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsを他人事ではなく、『ジブンゴト』としてとらえ、実践していけるようにSDGsの研究・周知・教育を行っています。校訓として学び・実践・達成・及人を掲げ、物心両面の幸せを追求し、真の『自分ごと』を探求できる学びの『場』として、誰もが参加ができるインラインによる「SDGs大学プラットフォーム」、「SDGsキャンプ」などのセミナー、イベントを提供しています。
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