賃上げ率「50%以上」8.2% 前年0.7%
賃上げを「実施する」と回答した企業の賃上げ内容については、5402社が回答。最も多かったのは「定期昇給」(83.6%、4520社)で、次いで「ベースアップ」(28.7%、1553社)、「賞与(一時金)の増額」(22.4%、1214社)など。
2021年4月から中小企業にも「同一賃金同一労働」が適用となったが、「再雇用者の賃金の増額」については、大企業で5.9%(769社中46社)、中小企業で4.1%(4633社中194社)が実施した。20年度実績は、大企業が5.3%、中小企業が3.3%だった。
賃上げを「実施する」と回答した企業のうち、賃上げ率について答えた2818社にその幅を聞いたところ、最多は「(賃上げ率が)2%以上3%未満」が26.6%(751社)で最多。次いで「1%以上2%未満」が24.0%(678社)だった。
賃上げ率「50%以上」は8.2%(232社)あり、前年度実績(0.7%)との違いが際立った。東京商工リサーチは「この差は、コロナ禍で賞与(一時金)などの賃金を大幅に削減した企業が、支給水準を戻した結果とみられる」と分析した。
今回の調査結果を受けて東京商工リサーチでは、コロナ以前の賃上げ実施率が80%台で推移していたことと比較して「再び感染が拡大し、まん延防止等重点措置の対象が広がる中で、業績回復が遅れた企業は賃上げに慎重になっている様子がうかがえる」と指摘。「ワクチン接種効果で経済活動が本格回復を迎えた場合、人手不足の顕在化が懸念されている。賃金を含む待遇の差は、求人面でのインパクトは大きい。賃上げに対応できない中小企業は、人材獲得での苦戦が避けられないだろう。さらに、求人が計画を下回った場合、生産活動への支障も起きかねず、債務返済や事業再構築にも悪影響が危惧される」との見方を示した。
なお、調査は2021年4月1日~12日にインターネットで実施。有効回答は8235社。