訪米の菅首相に忖度して後手に回った吉村知事
毎日新聞(4月20日付)「まん延防止効果薄く 大阪・緊急事態宣言要請へ」も、こう指摘する。
「もともとまん延防止措置については懐疑的な見方があった。休業要請ができない点で宣言と異なる。ある府幹部は『まん延防止適用の効果を見極めようとしている間に感染が一気に広がってしまった』と指摘。歓送迎会シーズンに感染が急拡大。府庁内では、早期の宣言発令を求める声が高まっていたが、吉村知事は『まん延防止の効果が表れ始める4月19日の感染状況次第だ』と繰り返していた」
というありさまで、呑気にかまえていたわけだ。
大阪府の検査では82.8%を「N501Y」の変異がある英国株が占めているから、極めて危険な状態だった。国際医療福祉大学の和田耕治教授(公衆衛生学)は、毎日新聞の取材に、
「(変異株の)データを示しながら強く府民に要請することで、まん延防止措置でも緊急事態宣言並みの対策はとれたはずだが、大阪府はそれをしなかった」
と、対応の弱さを問題視した。
結局、吉村知事は4月18日、日曜日なのに過去最多の驚くべき感染者数が出て、緊急事態宣言の要請に舵を切ったわけだが、バイデン米大統領との首脳会談(4月17日)に臨む菅義偉首相に「忖度」したから遅れたと指摘するのは週刊AERAのオンライン版(4月19日付)「菅首相の訪米で吉村大阪府知事が『忖度』 緊急事態宣言遅れ、医療崩壊を招く」である。こう報じる。
「大阪府では4月18日(日)、新たに1220人の感染者が確認され、過去最多を更新した。政府関係者がこう話す。『今回の菅首相の訪米でコロナ対策へ弊害が出ています。本来なら大阪はもっと早く緊急事態宣言を決断、再発出すべきでした。しかし、菅首相と仲がいい吉村洋文知事は訪米直前での要請は迷惑がかかると忖度し、判断を鈍らせました。後手に回ったように見えぬよう、吉村知事は菅首相が帰国した後、緊急事態要請を行い、菅首相は直ちに判断を行うというシナリオを描いています。しかし、大阪府民からしたら、1日の遅れも事態を深刻化させるわけだから、何をやっているんだという話です』」
というのだ。