バイデン米大統領は「五輪開催」をスルー 菅首相「海外に日本の恥をさらさないで」の声(2)

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   米国のバイデン大統領が初めて対面で首脳会談をする相手に選ばれたとあって、喜び勇んで米ワシントンに飛んだ菅義偉首相。「ヨッシー」「ジョー」と親しげに会談に臨んだが、肝心の東京五輪開催については「つれない態度」で袖にされた。

   バイデン大統領を東京五輪に招待し、開催の機運を大いに高めることを目論んだのだが、

「ヨッシー、君の努力は認めるよ」

としか言ってもらえなかったのだ。いったい何があったのか?

  • 新国立競技場内部(組織委の公式サイトより)
    新国立競技場内部(組織委の公式サイトより)
  • 新国立競技場内部(組織委の公式サイトより)

米国選手「ワクチン接種しない日本選手は危険」

   週刊朝日(4月19日付オンライン版)「日米首脳会談で温度差くっきり 真実味増す五輪『中止』の二階発言」は、米国内の懸念をこう伝える。

「バイデン大統領から支持を得た。首脳会談後の共同会見で、菅義偉首相はそう述べた。あたかも会談直前に飛び出した、自民党・二階俊博幹事長の五輪中止発言を打ち消そうとしているように。だが実際は、二階発言の真実味が増している。バイデン大統領は今年2月のインタビューで、大会開催について『科学に基づいて判断すべき』と発言しており慎重姿勢だ。共同声明では『努力を支持』の文言はあったが、会見でバイデン大統領は五輪開催に触れていない。米国の政府高官は現状について『判断するには早すぎる』と説明しており、両国の温度差が浮かび上がった形だ」

   週刊朝日は、米国が問題視するのは日本のワクチン接種の遅れだとして、こう指摘する。

「米国ではワクチン接種が進んでおり、7月23日の五輪開会式までに選手団の接種は間に合う。問題は日本側の感染対策だ。自民党関係者が言う。『ワクチン接種を終えた外国の選手からは、日本人選手は接種しないのに一緒に競技して大丈夫なのか、という声が多数上がっている』。さらに心配な点もある。ある大会関係者が話す。『問題は五輪だけない。パラリンピックでは、コロナに感染した時のリスクが高い障害者が来ます。五輪よりもはるかに感染対策が難しい』。英医学誌BMJが『今夏の五輪・パラリンピックを再考せよ』と題した警告論文を発表したが、なかでも障害者に対するコロナ対策が遅れている、と批判している」
菅義偉首相とバイデン米大統領の共同記者会見(首相官邸ツイッターより)
菅義偉首相とバイデン米大統領の共同記者会見(首相官邸ツイッターより)

   まだ、日本人全体で1%しかワクチン接種が進んでいないなか、出場するアスリートに優先接種させることに対して、世論の反対は根強い。

   そんななか、多くのメディアの中でも最も強く「断固五輪開催」を主張する産経新聞(4月19日付)が社説(主張)での「五輪選手の接種 安全開催に国民は理解を」が、こう訴えた。

「五輪・パラを成功させるには、大会の安全確保が欠かせない。政府が主役である選手を対象に、ワクチン優先接種を認める方向で調整しているのは、妥当な判断だ。海外の全選手が接種を受けて来日することは期待できない。加えて、感染力や重症化リスクの高い変異株が世界的に猛威を振るっている。海外選手と接触の機会が多い日本の選手にとって、心理的な負担は大きく、本番での競技に響きかねない」

   そして産経新聞は国民に、こう「理解」を求める。

「死亡リスクの高い高齢者より、選手を優先させることには批判もあるだろう。だが、コロナ後の社会を見据えれば、東京五輪開催の意味は大きい。政府は、選手の優先接種が反対論をあおらないよう情報発信に努めてほしい。スポーツ界も罪悪感を持つ必要はなく、胸を張ってほしい」

と呼びかけたのだった。

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