求められるテレワークの適正運用
こうした心身の不調は、業務の効率を下げるという警戒感も強まってきている。第一三共ヘルスケアは、テレワークを導入した企業に勤務する全国の20~50代の男女700人に対して実施した調査結果を昨秋、公表。それによると、労働時間についてはテレワークを導入する前と比べて「変化はない」(52.0%)、「少し減少した」(19.1%)、「減少した」(6.3%)との結果で、約8割が長くなったわけではなかった。
それにも関わらず、テレワークによって「何らかの不調がある」と答えた人は65.4%にものぼった。また、「肩や腰などの痛み」があるという362人のうち、「業務効率の低下につながった」と答えた人は4割強にのぼり、第一三共ヘルスケアは「肩や腰の不調が仕事のパフォーマンス低下に影響を及ぼしていることがうかがえる」と分析している。
テレワークは多くの企業で定着しており、コロナ禍が終息した後も引き続き拡大こそすれ、減る可能性は低い。厚生労働省もガイドラインを公開しているが、各企業にとっては業務の効率化という視点からも、テレワークの適切な運用が求められる。(ジャーナリスト 済田経夫)