「初めてまともなことを言った!」と喜べない二階幹事長の「五輪中止」発言の狙いは何だ?(2)

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英医学誌「無能な日本政府はパンデミックを引き起こす」

   そんななか、世界的に権威のある英国の医学誌が、「東京五輪はパンデミックを引き起こす。開催を再考すべきだ」と警告する論文を発表した。TBSニュース(4月15日付)「英医学誌 『東京五輪開催再考すべき』」が、こう伝える。

「英国の医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』は4月14日付で、『今年夏の東京五輪・パラリンピックを再考せよ』と題した論説記事を掲載した。記事の中で、日本の限られた検査体制とワクチン接種の遅れは政治的指導力の欠如が原因と指摘。五輪開催までに一般人はおろか医療従事者や高リスクの人たちへの接種も完了できないだろうとした。また、無観客で開催にしても選手や関係者が入国、変異ウイルスが流入し感染が拡大する懸念がある。さらに、科学的・倫理的な責任を無視して東京五輪を内政的・経済的な目的から開催することは、人類の健康と安全に日本が貢献することと矛盾すると批判した」
「日本のキングメーカーが五輪中止に言及した」と報じた英紙ガーディアン電子版
「日本のキングメーカーが五輪中止に言及した」と報じた英紙ガーディアン電子版

   日本政府はほかのアジア太平洋諸国に比べても、政治的指導力がお粗末で新型コロナを封じ込めていない、とも指摘しており、まことに耳の痛い指摘だ。

   ところで東京五輪を今、中止したらどうなのだろうか――。毎日新聞(4月16日)「開催・無観客・やらない どの選択肢も悲劇」によると、もうどの選択肢を取っても全員に明るいハッピーエンドはない状況だという。

   同紙によると、まず通常どおりの観客を入れたうえでの開催だが、

「9000億円を見込むチケット収入も一定程度入る。しかし、観客同士の感染リスクは避けられない。会場内で感染対策を取っても、全国から観客が首都圏の会場に集まるため、五輪が感染拡大の引き金となるとの見方がある」

   無観客を決断すると、どうか。

「警備費を削減できるうえ、観客のため各会場に配置する予定だった医療従事者の数も減らすことができる。しかし、海外分に加え、国内で販売済みの364万枚のチケットを払い戻さなさければならない。チケット収入がゼロになり、大会経費が赤字になれば、東京都か国が公費で補填する必要がある。政府関係者は『チケットを持っている人は五輪を支持してくれる貴重な味方。敵に回したくない』と懸念を示す」

すると、やはり中止がベストなのか?

「関連経費を含めて3兆円もの巨費が見込まれており、政権批判は避けられない。IOCのバッハ会長も明確に否定する。決断の時は刻一刻と迫っている。森喜朗・前会長の辞任でキーマンが不在になった。組織委関係者は『みんな誰かがハンドルを持っていると思ったら、誰も持たずに進んでいたという状況に陥っている』とこぼした」

   森喜朗・前会長がいたほうがよかったなんて、お先真っ暗ではないか。

(福田和郎)

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