訪米の菅首相のハシゴを外すのが狙いでは
もともと夏の五輪開催は困難だ、2024年に延期すべきだというのが持論の日本維新の会代表の松井一郎大阪市長も記者会見で、我が意を得たりとばかりにこう語った。
「与党幹事長の影響はとてつもなく大きい。政府や東京都の判断を左右する。二階氏と小池百合子都知事の人間関係は濃密だ。(中止に向けて)相談の上ではないか」
一方、二階氏は必ずしも菅首相のために動いていない、むしろハシゴをはずすためでは、とみるのは日刊スポーツ(4月16日付)「政界地獄耳」である。こう指摘する。
「二階発言をただのアドバルーンとみるか、菅義偉首相の訪米に合わせて発言し、首相のハシゴを外すことが目的かなど憶測が飛び交う。その中で、自民党ベテラン議員は言う。『自民党内は今複雑な構造の中にいる。菅で勝てるのかという不安はこの半年の政権の仕事ぶりや政権の態度、ことに首相の物腰などのイメージによるところが大きい。4回生までの安倍チルドレンは、言葉足らずで国民に誤解を与えることのオンパレードがリーダーにふさわしくないと思っている。学術会議問題から始まり、長男の別人格発言、最近の処理水放出決定など、いずれも丁寧に説明すれば国民の理解が得られそうだが、それができない』」
と、菅首相では選挙を戦えないという動きがあり、あえてバイデン米大統領に五輪の協力を仰ぐ訪米の日に合わせて冷や水を浴びせた可能性を指摘する。
日本の政界のドンが「五輪中止」発言をしたことは、世界にも波紋が広がった。英ガーディアン、豪ABC放送、米ブルームバーグ、ロイター通信、米ワシントンポスト、五輪専門ニュースサイト・インサイダーゲームなどが「日本のキングメーカーが五輪のキャンセルが選択肢とあることを認めた」などと報じた。