菅首相、初の日米首脳会談 連携のカギは地球温暖化対策

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   政府は、菅義偉首相が2021年4月15日から18日にかけて米国を訪問。16日にバイデン米大統領と、初の日米首脳会談を行うと発表した。政府は、今回の訪問が日米同盟の一層の強化の機会になると期待している。

   首脳会談では中国に関わる安全保障問題や人権問題もテーマとなるとみられるが、米国は一方で、重視している気候変動の問題では中国と協力する動きを強めており、菅首相は地球温暖化対策でこれまで以上に積極的な取り組みが求められるとみられる。

  • バイデン大統領にとって菅首相は 直接会談する最初の外国首脳(ホワイトハウスのウェブサイトから)
    バイデン大統領にとって菅首相は 直接会談する最初の外国首脳(ホワイトハウスのウェブサイトから)
  • バイデン大統領にとって菅首相は 直接会談する最初の外国首脳(ホワイトハウスのウェブサイトから)

米気候担当のケリー特使が中国に

   首相官邸ウェブサイトなどによると、日米首脳会談は当初4月9日に行われる日程で調整が進められ、菅首相は「4月前半」と表明していたが、米国側の事情で1週間延期された。この菅首相の訪米と重なる形で、米国からはバイデン政権で気候変動問題を担当するケリー大統領特使が中国を訪問。17日までの日程で中国の担当者らと会談する。

   気候変動問題は、バイデン政権の最優先課題。その取り組みとして、日米首脳会談の1週間後の4月22、23日の両日に、オンライン形式による気候変動の首脳会議(サミット)をバイデン大統領が主催する。

   3月26日に、菅首相や中国の習近平国家主席を含む世界各国・地域の首脳40人を招待したと発表した。会議は一般公開される予定。米国はサミットを成功させ、再び国際協調のリーダーを務める意思を示したい意向とされ、ケリー特使は習主席のサミット出席などについて協議するとみられている。

   こうした動きの中で開かれる日米首脳会談。シンクタンク、野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英さんはウェブサイトで連載している4月15日付のコラムで、「バイデン政権が国際的な主導権を握ることを目指す地球温暖化対策も議論される」と読む。

CO2削減目標、日本だけパリ協定採択時のまま

   気候変動、地球温暖化の問題で菅首相は2020年10月の所信表明演説で、2050年までにカーボンニュートラル、温室効果ガスの排出をゼロにすることを達成目標に掲げた。それには環境団体なども、一定の評価を寄せている。

   しかし、木内さんによれば、この2050年の目標よりも、気候変動をめぐって世界の関心はいま「2030年の中間目標」にあるという。2015年12月にCOP21(第21回気候変動枠組条約国会議)で採択されたパリ協定で、日本は2030年までに13年比で温室効果ガス排出量を26%削減することを目標にした。

   パリ協定の2030年の削減目標をめぐっては、先進国は軒並み目標を引き上げている。欧州連合(EU)が1999年比40%削減から55%削減に、英国は68%削減に引き上げた。米国は2005年比26~28%削減を50%削減するよう検討している。「今後はさらに目標を引き上げる動きが続く可能性があるだろう」という。

   「2050年のカーボンニュートラルの達成目標と整合的にするためにも、この2030年の目標引き上げは必至であり、日本はそれを早急に実現する必要に迫られている」というわけ。その中での日米首脳会談だ。

   会談で菅首相は「目標引き上げの考えをバイデン大統領に伝え、その感触を確かめようとするだろう」と木内さんは指摘。「米国は民主主義や人権といった価値の共有を同盟国側に求めるだけでなく、積極的な地球温暖化対策の実現も強く求めていくことになる。仮に日本がそれに十分対応できなければ、対中、対北朝鮮政策をめぐる日米の協調体制にも好ましからざる影響が生じる可能性があるだろう」としている。

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