CO2削減目標、日本だけパリ協定採択時のまま
気候変動、地球温暖化の問題で菅首相は2020年10月の所信表明演説で、2050年までにカーボンニュートラル、温室効果ガスの排出をゼロにすることを達成目標に掲げた。それには環境団体なども、一定の評価を寄せている。
しかし、木内さんによれば、この2050年の目標よりも、気候変動をめぐって世界の関心はいま「2030年の中間目標」にあるという。2015年12月にCOP21(第21回気候変動枠組条約国会議)で採択されたパリ協定で、日本は2030年までに13年比で温室効果ガス排出量を26%削減することを目標にした。
パリ協定の2030年の削減目標をめぐっては、先進国は軒並み目標を引き上げている。欧州連合(EU)が1999年比40%削減から55%削減に、英国は68%削減に引き上げた。米国は2005年比26~28%削減を50%削減するよう検討している。「今後はさらに目標を引き上げる動きが続く可能性があるだろう」という。
「2050年のカーボンニュートラルの達成目標と整合的にするためにも、この2030年の目標引き上げは必至であり、日本はそれを早急に実現する必要に迫られている」というわけ。その中での日米首脳会談だ。
会談で菅首相は「目標引き上げの考えをバイデン大統領に伝え、その感触を確かめようとするだろう」と木内さんは指摘。「米国は民主主義や人権といった価値の共有を同盟国側に求めるだけでなく、積極的な地球温暖化対策の実現も強く求めていくことになる。仮に日本がそれに十分対応できなければ、対中、対北朝鮮政策をめぐる日米の協調体制にも好ましからざる影響が生じる可能性があるだろう」としている。