〈Day 3〉意見交換会でわかったワーケーションの「意義」
最終日は、今後の100年を見据えた村づくり計画を進めている前田薬品工業の前田大介社長から、村づくりの経緯や理念について話を聞いた後、3日間の滞在で参加者が感じたこと、今後のワーケーションのアイデアなどを話し合った。
スカラパートナーズの村松さんは、「実際にワーケーション関連事業を担当しているので、『ここはこうしたほうがいいんじゃないか』といった具体的なビジネスのアイデアがたくさん浮かんできて、まさに創造力が増した感じでした」と、充実した3日間だったという。
「電車を降りればノスタルジックな風景が広がり、現地では『ヘルジアン:ウッド』の村づくりを進める前田さんや、埜の家のマネージャーでマウンテンバイク・トレイルを整備した佐藤さんのような、先々を見通して実行しているリーダーと話ができました。大いに刺激を受け、将来への想いを分かち合って、何かを一緒につくりたいという気持ちが芽生えました」
と、力強く語る。
ハウス食品の茅根さんは、
「移住者や企業の方々と話す中で、地域の課題やみなさんがどんなことを考えているのかということを知りました。ワーケーションは、ただ現地で仕事をするとか社内のチームビルディングができるというだけではなく、一緒に地域の課題解決に取り組んだり、地域の人たちとどう関わったりするのかということが、その土地を訪れる理由になると感じましたし、人との交流を通じて、人材の育成などにつながる可能性もありそうです」
と、期待する。
「雄大な自然」「文化や人々の暮らし」「地域の人との触れ合い」といった富山の魅力を、新たに発見。その一方で、「ネット環境の整備」や「交通手段が限られること」「食堂やお店の情報がほしい」といった課題が明かるみに。今回のワーケーションツアーを催した富山県総合政策局、移住UIJターン促進課課長(当時)の山本美稔子さんは、
「ふだん住んでいる私たちが気づかない富山の魅力や課題、ワーケーションのアイデアを得ることができました。今後は、廃校を再生した場所での親子ワーケーションツアーなども開催していきたいですね」
と話した。
2泊3日という短期間の滞在だったが、最近、仕事で家にいることが多かったので、温泉あり自然あり、人との交流あり、仕事ありと久しぶりに活動的で刺激の多い時間を過ごした。富山の土地や人の魅力がわかってきたところでツアーが終わってしまい、少し残念。それでも、まさに「関係人口」としてまた戻って来ることができればいいな、と思った。
山本さんによると、「実際に県外企業が富山にサテライトオフィスを設置し、地元の課題解決を一緒に解決するケースも出はじめています」とのこと。今後の富山のワーケーションの広がりに注目していきたい。
(戸川明美)