「新たな仕事をためらう若手社員への叱責」〈後編〉【第4回】(前川孝雄)

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ハラスメント予防のあり方を定める

(1)仕事の目的を共有する
   上司がとるべき行動の第一は、新しい仕事の目的を部下と十分に共有することです。組織がどのような社会貢献や顧客貢献への理念や方針をもっているのか。いま組織を取り巻く経営環境や顧客ニーズをどう捉えているか。そのうえで、今回の新規事業がどんな意味や目的をもち、どのような経緯で決定されたのか、丁寧に伝えることです。
   何よりもまず、上司自身がこの点をしっかり理解し、納得していることが大事になります。

(2)仕事・役割に動機づける
   行動の第二は、新たな仕事がチームにとってどのような意味をもつか、さらに、本人のキャリアにとってどのような位置づけの仕事となるのか、上司としての考え方や期待をしっかり述べることです。
   本人が自分だから挑戦すべき仕事として納得でき、自分の成長にとってもプラスに感じられるように、内発的に動機づけることが大切です。そのうえで新たな仕事と今の仕事との関係づけや優先順位など、本人が悩んでいるなら相談に乗り、必要な調整を図ることも大事です。

◆ 日常的な予防を図る(やり方を変える)

(1)日頃から部下の仕事と思いを把握する
   この事例は、経営層からの指示をきっかけに生じた課題でしたが、大切なことは、上司が日頃から部下の仕事の状況や興味や関心などを把握しておくことです。定例ミーティングなどで仕事の進捗状況や課題を把握し、必要な相談に応じることで、本人の課題意識や思いを理解しておきます。
   また、いつでも報連相(報告、連絡、相談)がしやすい関係をつくっておくことも有効です。働き方改革やリモートワークなどが進み、オフィスで顔を合わせる機会が少ない場合には、メールやチャットでコミュニケーションの経路を確保しておくことも有効です。

(2)日常的に上層部に対する「報連相」を行う
   中間管理職の立場にある場合には、上司が経営層と現場を繋ぐコミュニケーションの要の役割を担うことも大切です。まずは、上層部の方針や関心事をタイムリーに把握し、日頃から部下にわかりやすく翻訳して伝えておくこと。また、現場の部下たちの状況から経営判断に必要な情報を恒常的に経営層に伝えておくことです。
   こうして、経営と現場が乖離しないように意志ある翻訳エンジンを担うことも、現場上司の大切な役割なのです。

※ 職場のハラスメント予防についてさらに詳しく学びたい方、また職場での研修導入を検討される方は、弊社FeelWorksが開発した「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」をご参照ください。

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