選手に「もし開催されるなら」と言わせないで
これでは、東京五輪・パラリンピックに出る選手たちも肩身の狭い思いになるだろう。そんな選手たちの気持ちをデイリースポーツの五輪担当キャップの大上謙吾記者が、署名入りコラム「東京五輪まであと100日 コロナ感染抑制の成功例示せなければ光は見えてこない」(4月14日付)でこう書いた。
「機運が高まらない状況が続き、アスリートたちも厳しい立場に立たされている。100日後、果たして東京五輪は開催できるのか。現場の肌感覚でいえば、リスクをはらむことは分かっていながらも、決定的な何かでも起こらない限り、国、都、組織委、IOC、どこも中止の決断はしない、いや、できないとみる。開催されれば、多くのトラブルや問題が起こる可能性は高い」
「同時に池江璃花子や松山英樹が示してくれたように、スポーツの力、アスリートたちの活躍により盛り上がることも間違いない。だから、せめて、多くの人たちに応援される中で、大会が始まってほしいと願う。どれだけ大会側が『安全安心』を主張しても理解は得られていない。『納得は安心を連れてくる』。某自動車保険のCMフレーズだが、納得できる材料を示せていないことが最大の要因。IOCのバッハ会長の言う『トンネルの先の光』という希望論ではなく、ここまで感染を抑えれば、こうすれば開催できるという具体的な数字であり、対策であり、成功例だ」
そして、大上記者はこう結ぶのだった。
「今、選手たちの東京五輪に向けた言葉には、前置きが入る。『もし開催されるなら』。選手もまた一歩引いた視点を持たなければ、気持ちを保てない状況が続く。あと100日。さすがにもう、そう言わせてはいけない時期にきている」
(福田和郎)