ワクチン優先接種のためにパラ選手を利用
そのため、IOCはワクチン接種を選手に奨励しているが、参加の条件にはしていない。政府も組織委も日本の代表選手にワクチン接種を義務付けてはいない。しかし4月8日、政府が代表選手に優先的にワクチン接種をすることを検討しているという報道が流れ、「医療従事者や高齢者にも行き渡らないのに何事だ!」と怒りの声が殺到した。
政府は打ち消しに大わらわだったが、まだひそかに検討しているようだ。毎日新聞(4月14日付)「『選手にワクチン』本音隠す 変異株拡大 JOC、世論反発恐れ」によると、
「日本側は選手のワクチン接種を推奨するIOCと一線を画し、ワクチンに頼らない感染対策を模索してきた。『バブル方式』だ。しかし万全とはいえない。小規模な国際大会では感染例が後を絶たない。このため、競技関係者の間からは『早くワクチンを打たせてほしい』との声も聞こえる」
としている。
日本オリンピック委員会(JOC)は表向き選手の優先接種を認めない構えだが、米国などの主要国でワクチン接種を受ける選手が増えている。日本だけが取り残される恐れがある。そこで、パラリンピックの選手を前面に出そうというのだ。
毎日新聞が続ける。
「ある大会関係者は『JOCもワクチンを打ちたいのが本音だが、言えば逆効果になるから切り出せないだけ。基礎疾患のあるパラ選手を理由にすれば理解も得られるのでは』と語り、国民の理解を得るための理屈を探っている」