新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、大阪府や宮城県などに適用されている「まん延防止等重点措置」。2021年4月12日からは東京都、京都府、沖縄県が追加され、1都2府3県で実施されている。
シンクタンク大手、野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英(きうち・たかひで)さんは、東京都23区と6市への措置適用で約3650億円の個人消費が失われると試算。1都2府3県すべてを合わせると、その損失は5540億円に膨らむという。
緊急事態宣言と実質同じ
木内登英さんは、野村総研のウェブサイトで連載しているコラムの4月9日付で「拡大されるまん延防止措置の経済損失」と題して寄稿。まん延防止措置について、「緊急事態宣言と比べて大きな差はない」と指摘。「したがって、その適用は対象区域の経済活動に相応の影響を与える」としている。
「まん延防止等重点措置」は2021年2月に施行された改正特別措置法で新設。4段階の感染状況で2番目に深刻な「ステージ3」相当で適用される。まん延防止措置では飲食店への時短営業の命令・要請はできるが、緊急事態宣言では可能な休業要請はできない。
まん延防止措置では、対象の都道府県知事は飲食店に営業時間の短縮を命令でき、従わなかった場合は20万円以下の過料を科すなどの対策がとれる。緊急事態宣言では過料は30万円以下と差があるが、木内さんは「まん延防止措置は緊急事態宣言と比べて大きな差はなく、まん延防止措置は実質的には、名を変えた緊急事態宣言と言っても過言ではないだろう」と指摘する。
まん延防止阻止は4月に入り、5日から大阪府大阪市、兵庫県4市(神戸、芦屋、尼崎、西宮)、宮城県仙台市に、12日から東京都23区と6市、京都府京都市、沖縄県9市に適用されている。期間は東京都が5月11日までで、その他の府県は5月5日までだ。