前回までは、営業活動で成果が上がる仕組みを示す「営業成果の法則(営業成果=営業知識×営業活動量)」における営業知識の考え方とオンライン営業化で、それがどのように変質するかについて、株式会社カレンの藤崎健一社長から具体的な事例を含めて説明をしてきました。
今回からは、法則のもう一つの要素である営業活動量について、解説していきます。
デキる営業担当者は1日平均180分を確保している
リアルの営業活動における「営業活動量」は、売り込みのターゲットとの相対での面談量になります。この面談量は当然、時間で表されるものなのですが、単純な面談総時間ではなく、いわゆる雑談を除いた面談時間、すなわち有効面談時間という考え方で捉えます。
雑談には二種類あって、下世話な世間話と若干でも仕事に関わるような業界話や景気や経済動向などに関する雑談です。有効面談時間に前者は含まれませんが、後者はこれに含めて考えます。
多くの企業のお手伝いをしてきた私の蓄積データから、この営業活動量を分析すると、業種や売るモノあるいは営業地域などの条件によって若干の例外はありますが、おしなべて目標を達成できる営業担当者は1日平均で有効面談時間を180分以上確保している、という結果が出ています。
すなわち、リアル営業中心の営業活動では、10時から17時を営業活動のコアタイムとすると、1時間の昼食休憩を除く6時間=360分が1日の営業活動時間となり、その約半分を有効面談に充てられれば目標が達成できるということが言えました。
ちなみに、1日平均240分以上の有効面談時間を確保できている営業担当者は、例外なくトップ営業担当者でした。逆に1日平均有効面談時間が120分以下の営業担当者は、こちらもほぼ例外なく目標未達成者でした(もちろん、平均120分以下でもフロックで1期だけ目標を達成するということは例外扱いです)。
結論として、まずは1日平均180分以上の有効面談時間をいかに確保させるか、というのが営業管理者の仕事になるわけです。
なぜ、有効面談時間の確保が営業管理者の仕事と申し上げたかですが、これは常に目標達成している営業担当者とそれができない担当者の違いはどこにあるのか、ということに関連しています。その違いは、担当者が自己管理できるか否かということです。
私が見てきた常に目標を達成できる営業担当者は例外なく、今週は何件アポを入れ、何件訪問し、何件クロージングさせるかなど、自分で計画的に物事をすすめ、それを着実に実行するという自己管理ができていました。
一方、目標を達成できない営業担当者は、こういった自己管理が十分にはできていないのです。ならば、その管理を本人に代わって管理者がしてあげれば目標達成に近づくという考え方から、管理者が担当者の有効面談時間の管理をすべきであると申し上げました。
余談ですが、世のスーパー営業マンたちが書いた「営業成功法」的なビジネス書を読んだ中小企業の社長や営業担当管理者が、その本の中身に感心し、そのやり方をマネて担当者に指示をしても、なぜか担当者の成績向上にはほとんど役に立ったためしがないという話をよく聞きます。これも同じく管理ができているか否か、という問題です。
つまり、スーパー営業マンたちは当然のごとく、自己管理ができるからそのやり方が有効に働くわけです。一方、その方法をマネてみたところで、担当者が実行上の自己管理ができず、また管理者が「この方法でやれ」と指示だけして管理をしないなら、成果が上がらないのは当然なのです。営業において管理は本当に重要であると、改めて実感するところです。