世論調査では聖火リレー賛成は13%だけ
大阪府、そして愛媛県と相次いで中止に追い込まれた聖火リレー。政府や五輪組織委は聖火リレーを「東京五輪開催」の機運を醸成する起爆剤にするとしていたが、国民の評判は極めて悪い。共同通信が4月12日に発表した世論調査では、一部で観衆の密集がみられた聖火リレーの是非について聞いている。「感染が深刻な地域に限って、中止するべきだ」が49%、「全面的に中止するべきだ」が36%で、「最後まで継続するべきだ」は13%しかいなかった。
聖火リレーがスタートして、ひと月がたったが、五輪の開催の機運も盛り上がっていない。同じ共同通信の世論調査によると、今夏に予定されている東京五輪・パラリンピックについて、「開催するべきだ」が25%しかなく、「中止するべきだ」が39%、「再延期するべきだ」が33%と、72%が今夏開催に反対だった。これは3月とほぼ同じ数字だ。
朝日新聞が4月12日に発表した世論調査でも同様の傾向が見られた。「今年の夏に開催する」は28%(前回3月は27%)、「再び延期する」が34%(同36%)、「中止する」が35%(同33%)で、今夏の開催に反対する声が69%だった。これも3月から横ばいだ。
こんななか、海外の有力メディアのあいだでも、「もう東京五輪、やめようよ」という声が上がっている。4月12日付の米紙ニューヨーク・タイムズ電子版がスポーツ面のコラムで「It's Time to Rethink the Olympics」(オリンピックを考え直す時だ)という見出しをつけて、東京五輪と北京冬季五輪の中止を訴えた。
ニューヨーク・タイムズは、日本では新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、ワクチン接種も先進国では最低レベルに滞っている。そんな状態で東京五輪を開催するのは「最悪のタイミング」であり、日本と世界にとって「3週間にわたる一大感染イベント」になる危険性がある。東京五輪は当初の予算を大きくオーバーしており、日本国民の多くが大会の延期か中止を望んでいると指摘した。
また、北京冬季五輪も新疆ウイグル自治区や香港で見られる人権侵害をしている中国のような国が開催国になっていいのかと疑問を投げかけた。そもそもオリンピックでは、リオ五輪でもブラジル政府が会場周辺住民を5万人以上強制退去させるなど、人権問題が起こっている。東京五輪と北京五輪を含めて「オリンピックはもう行き詰っている。あり方を考え直すべき時が来ている」と主張した。