日銀「異次元緩和」継続も漂う手詰まり感 「有事」の備えは大丈夫か?

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日銀への「やさしさ」際立つ読売新聞の社説

   今回の点検について全国紙5紙は3月20~25日に、社説(産経新聞は「主張」)で論じた。

   毎日新聞(25日付)は「実態は緩和の副作用に対する小手先の対応に過ぎない。金融政策の手詰まり感は一層強まった」と最も辛口で、すでにETFの保有残高が50兆円規模に達するなど「異次元緩和の『出口』を一切語らないというのでは無責任だ」と酷評する。

   日本経済新聞(20日付)は「政策の持続性と機動性を高める意味でも修正は妥当だ」と、今回の見直しを基本的に評価するものの、「購入済みETFをどうするかの議論は避けた。......重要な論点が積み残された」と、出口戦略を議論しない日銀の姿勢には批判的だ。

   何事も、主張の対立が目立つ朝日新聞と産経新聞を見ると、朝日新聞(22日付)は、ETFについて「削減は当然の措置だ。一方で目安をなくしたため、具体的な運用方針がみえにくくなった」、「貸出促進付利制度」にいついても「将来の適用対象は『制度の趣旨に沿って決定』としか書かれておらず、あいまいさが残る」など、わかりにくさを批判。産経新聞(21日付)は「政策効果を高める措置を今から講じておくことは有益である」と基本的に評価しつつ、「細かく修正を加えた結果、金融政策がますます複雑になり、その全体像が捉えにくくなっていることには懸念を覚える」と書く。わかりにくさへの懸念については、朝日新聞と共通している。

   日銀に最も理解を示したのが読売新聞(20日付)で、「デフレ脱却に向けて金融政策の役割は大きいが、緩和が長引き弊害も目立っている。政策の修正に踏み切ったことは評価できる」と「エール」を送り、ETFについて「市場の安定期には買い入れを減らし、緊急時に対応する狙いは適切である」と支持。「出口」について、戦略を描けない日銀への批判的な言い回しはなく、「日銀に代わる株主を増やす施策に注力してほしい」と政府に注文するなど、日銀への「やさしさ」が際立っている。(ジャーナリスト 岸井雄作)

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