変異ウイルスの猛攻撃に東京・大阪が落城なのに 五輪アスリートにワクチン優先接種ってマジか!(1)

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   新型コロナウイルスの変異株の感染拡大が止まらない。大阪府では2021年4月8日、ついに新規感染者が900人台に突入した。東京都と京都府、沖縄県も「まん延防止等重点措置」を政府に要請する事態に陥った。

   これほど全国に感染が広がっているのに、政府は何が何でも東京五輪・パラリンピックを開催するつもりのようだ。なんと、五輪のアスリートに優先的にワクチン接種を行うことを検討しているという報道が流れた。

   加藤勝信官房長官は即座に報道を否定したが、ネット上では怒りが沸騰している。

「聖火リレーの強引なやり方を見ても、今の政府ならやりかねない」

   という見方が圧倒的だ。いったい、どうなっているのか――。

  • まん延防止等重点措置の適用を要請した小池百合子都知事(公式サイトより)
    まん延防止等重点措置の適用を要請した小池百合子都知事(公式サイトより)
  • まん延防止等重点措置の適用を要請した小池百合子都知事(公式サイトより)

小池都知事の心の声「危険な大阪には行かないで」

   東京都の2021年4月8日の新型コロナウイルスの新規感染者数が545人に達した。先週の木曜日に比べ70人増えて、8日連続で前週の同じ曜日を上回った。感染が急拡大期に入ったのは明らかだ。

   小池百合子都知事は同日、政府に対して「まん延防止等重点措置」を適用するよう要請した。これを受け、政府は都を適用対象に加える方針を固め、4月9日に対策本部を開き、決定する。都は23区や多摩地域の一部を対象に、飲食店の営業時間を午後8時までに早めることや、大型連休中の外主自粛要請など行う予定だ。

   小池知事は記者団に、関西で変異ウイルスが猛威を振るっていることをあげて、東京でも4月第1週の変異ウイルスの新規感染者に占める割合が、前週の8%から32%に急上昇したことを明らかにして、

「東京がいつ大阪のようになってもおかしくありません。都民の皆さんには、都県境を越えた外出をお控えください。また、大都市圏の往来は控えていただきたい」

   と、直接名指しすることはなかったが、大阪方面には行くな、と呼びかけたのだった。

   その大阪府は4月8日、新たに905人の感染が確認された。3日連続で過去最多を更新、1000人突破も目前の事態となった。

   これはもちろん、変異ウイルスのまん延によるものだ。朝日新聞(4月8日)「変異株新たに感染、1か月で14倍増 子どもの割合増加」は、こう伝える。

「厚生労働省に助言する専門家組織によると、変異ウイルスによる新たな感染者数は1週間あたりで、2月末から3月末にかけて全国で14倍に急増した。特に関西圏が多く、兵庫県で75%、大阪府で54%、東京都では3%が変異ウイルスだった。首都圏はこのまま増え続けると、5月1日ごろに変異ウイルス割合が7割を超える可能性がある」

   小池都知事の4月8日の説明だと、4月第1週で一気に8%から32%に跳ね上がったわけだから、5月1日よりもっと前に7割に達する勢いではないか。

大阪型と東京型で違う変異ウイルス

「マスク会食」を訴える吉村洋文・大阪府知事(大阪府の公式サイトより)
「マスク会食」を訴える吉村洋文・大阪府知事(大阪府の公式サイトより)

   ところで、関西の変異ウイルスと東京の変異ウイルスでは、タイプが違うらしい。読売新聞(4月8日付)「変異型 子供も感染のおそれ」は違いを、こう説明する。

「大阪府や兵庫県などでは英国型と呼ばれる変異型が多く見つかり、感染拡大を続けている。英国型は『N501Y』という変異があり、感染力が従来型の1.7倍程度とされる。英国では昨秋に確認されてからわずか2、3か月で主流に置き換わった。死亡リスクが約1.6倍になる可能性がある。年代に関係なく感染しやすいため、従来型では少なかった子どもへの感染が懸念される」
「一方、東京や仙台では英国型と異なる新たなタイプの変異型が相次いで報告されている。『E484K』という変異があり、仙台市では2~3月の感染者208人のうち約8割にみられた。ワクチンの効果が下がる変異との指摘もあるが、感染力や重症化リスクなどはわかっていない」

   つまり、関西のタイプは感染力が高いうえ、重症化しやすいなどのリスクがあり、東京や仙台のタイプは、ワクチンが効かないのではないかという恐れがあるというわけだ。どちらにしても従来型より危険であることは間違いない。東京医科大学の濱田篤郎教授(渡航医学)は産経新聞(4月8日付)の取材に対し、こう述べている。

「ウイルスは株同士で陣地の取り合いを繰り返し、感染力の強いものが残っていく。最終的には全国で英国型への置き換わりが起こるだろう。重症化リスクの高い高齢者らのワクチン接種が完了するまで、変異ウイルスの感染拡大のスピードをいかに抑えるかが重要だ」

   その英国型は、「本家」の英国でもワクチンで抑えることが成功した。朝日新聞(4月8日付)「英首相『私もパブでビールを』 感染状況が劇的改善」はワクチン効果のスゴさを、こう伝えている。

「英国は、英国型の変異株が最初に確認され、感染状況が欧州最悪の時期もあった。しかし、4月6日の新規感染者数は2379人と、1月の1日6万人超から急減。一時は1日1300人を超えた死亡者数も20人に減った。ジョンソン首相も『私もパブへ行き、ビールジョッキを口に運ぶ』と喜んだ」
「劇的に状況が改善した背景には、厳しいロックダウンとワクチン接種の順調な増加がある。食品や薬など生活必需品の店以外は休業。学校も休校にした。外出規制を破った違反者には最大6400ポンド(約97万円)の罰金を科した。  一方、ワクチンは4月5日までに人口の47%にあたる約3162万人が1回目を接種。70歳以上では9割が受けた」

   これは、人口接種率32%の米国や14%のEU(欧州連合)を大きく上回る。しかし、日本のワクチン接種率は医療関係者を中心にまだ1%以下だ。4月12日から高齢者の一部が始まるが、国民全体の接種が終わるのはいつか、見通せない状況だ。

(福田和郎)

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