2021年の世界経済成長率は6% IMF、ワクチン効果で上方修正

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   国際通貨基金(IMF)は、2021年の世界の経済成長率見通しを6.0%とし、前回1月に公表した世界成長率予測の5.5%から上方修正した。

   前例のない新型コロナウイルスの感染拡大の影響で傷めつけられた経済が新しい社会スタイルに適応しはじめていることや、ワクチン接種効果による景気回復期待が材料になった。しかし、先進国と途上国とで、経済回復における格差拡大の可能性があり、警戒を促している。

  • 米ワシントンのあるIMF本部(IMFウェブサイトより)
    米ワシントンのあるIMF本部(IMFウェブサイトより)
  • 米ワシントンのあるIMF本部(IMFウェブサイトより)

追加財政支援とワクチン効果

   2021年4月6日にIMFが明らかにした最新の世界経済見通しによると、コロナ禍に、ほとんど成す術がなかった2020年の世界全体の経済成長率はマイナス3.3%と第二次大戦後、最悪となるペースに落ち込んだ。

   地域別にみても、軒並みマイナス成長で、日本はマイナス4.8%、米国マイナス3.5%、EUのユーロ圏はマイナス6.6%。中国は回復が速く2.3%のプラス成長だった。

   コロナ禍による景気後退の影響は、各国の財政出動によって2008年のリーマン・ショックの時よりも抑えられる見通しとされている。

   前年と比べると、2021年の見通しは明るい。IMFは1月に出した予測でも前回(20年10月)から0.3ポイント上方修正しており、今回で2回連続。

   20年4月の世界経済見通しでは、21年の世界経済は5.8%成長すると予想。その後、6月に5.4%に下方修正。10月には5.2%へと、さらに下方修正を繰り返すなど不透明感がつきまとっていた。最新予測のどおり6%成長を達成すれば、この40年余りでは最大の伸びになる。

   2021年の最新の世界経済見通しの国・地域別の成長率予測では、日本は1月時点の見通しから0.2ポイント改善し3.3%の成長が見込まれる。米国は1.3ポイント改善して6.4%、ユーロ圏は0.2ポイント改善し4.4%、中国は0.3ポイント改善し8.4%と、それぞれプラス成長の見込み。

   また、20年にマイナス11%と2ケタのマイナス成長だったスペインも21年には6.4%の成長が見込まれている。

   IMFは、今回の上方修正について「一部の経済大国における追加の財政支援や、2021年後半にワクチン接種効果による景気回復が期待されること」のほか、コロナ禍で続いた人やモノの「移動量の低迷」への適応が継続することを反映したと指摘。また、コロナ禍の世界的流行の今後の展開の行方や、経済活動の正常化までのつなぎとなる政策支援の有効性、金融環境の動向など、予測を行う環境の不確実性も合わせて指摘している。

   今後について、IMF調査局長のギータ・ゴピナート氏は、ワクチン普及のペースや、経済政策に支援の規模、経済の観光依存度など、各国間および各国内の地域間で差異があることから「回復速度差の拡大や、危機が経済に持続的なダメージを及ぼす可能性に関連する困難な課題が示されている」と述べている。

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