「スポンサー企業の車列の音量を低くして」
それにしても、丸山知事は、なぜ聖火リレーの中止を撤回したのか。
主要メディアの報道を総合すると、丸山知事は4月6日、突然上京して、東京五輪組織委員会の布村幸彦副事務総長と会談。聖火リレーの中止の検討を見送り、予定どおり聖火リレーを島根県内で行うと伝えた。その代わり、聖火リレーを実施するにあたって、次の3点を要望した。
(1)聖火リレーを先導するスポンサー企業の車列を聖火リレーに参加させない。
(2)スポンサー企業の車列は大音量で音楽を流したりするが音量を下げる。
(3)スポンサー企業のスタッフを削減して、沿道人々へのグッズ配布を行わない。
と、もっぱらスポンサー企業への要望に終始したのだった。
これに対して、丸山知事との会談後、記者会見に応じた布村副事務総長は、こう答えたという。
「丸山知事からは『スポンサー車両を参加しない形はできないのか』『スポンサー車両の音楽イベントのような大音量を下げることはできないのか』などの要望がありました。そういう事例をSNSなどでご覧になったようです。パートナー(スポンサー)の協力によって聖火リレーは実現できるもの。パートナー車両の帯同は不可欠という説明をさせていただいた。ただ、音量については、福島でのスタート以来、パートナーの方々にしていただいている。改めて相談して、検討していきたいと丸山知事にお伝えした」
そして布村副事務総長は自信たっぷりに、
「丸山知事にはご理解をいただいた」
と述べたのだった。
丸山知事は、布村副事務総長と会談後、東京・千代田区の都道府県会館で記者会見を行った。そして、スポンサー企業に関する要望について、
「3つの要望をしました。スポンサーの協力によって聖火リレーが行われているため、すべて実現するのは難しいが善処すると言ってもらえた。要望が達成される度合いは低いが、これをもって聖火リレーを中止すると判断することは、島根県民にプラスに働かない」
と述べたのだった。
つまり、要望が通らなくても、聖火リレーはやるというのだ。これでは、五輪組織委に「完全屈服」ではないか!