政府もハナから自信がない「まん延防止重点措置」
今回の「まん延防止等重点措置」はいったいどの程度、感染防止効果が期待できるのだろうか。菅義偉政権にもまったく自信がないことを朝日新聞(4月2日付))「政権誤算しぼむ『攻勢』 『五輪機運で浮揚』見通せず」が、こう明らかにしている。
「まん延防止等重点措置を出すのは今回が初めてで、実効性は『わからない』(政府関係者)のが実情だ。大阪では2月末の宣言解除後も21時までの時短営業を継続していたが、繁華街の人出は増加傾向だ。官邸幹部は『市民の協力をどれだけ得られるかが心配』と漏らす」
「まん延防止等重点措置は、緊急事態宣言に比べ、国民に行動の変化を促すアナウンス効果が低い。政府内では、実効性が見通せない中で各地に『まん延防止ドミノ』が起こることに懸念の声もあがる。政府関係者は『まん延防止等重点措置は中途半端な制度だ。国民がまん延防止慣れしてしまうと、次に緊急事態宣言が出た時の効果が薄れる』と語る」
西村康稔・経済再生担当相は、感染が爆発的に広がっている沖縄、山形、愛媛県にもまん延防止等重点措置を適用する可能性があることに言及している。その後、東京都をはじめとする首都圏にさらに感染者が増えれば、どうなるのか。産経新聞(4月5日)「まん延防止、都内に効果あるか 繁華街が点在、往来多く」も、まん延防止等重点措置には実効性がないことを指摘する。
「東京都の新規感染者数が増加するなか、今後はまん延防止等重点措置の適用の有無が焦点になるが、地方に比べ繁華街が多い首都でどのように対象地域を定め、実効性を高めるかが課題になる。重点措置は特定の地域からの感染まん延を抑えるための対応だが、都内には多くの繁華街が点在する。一部の地域を時短営業の対象にしても、『東京では別のエリアの繁華街に人が流れる』(都幹部)からだ」
大阪府が大阪市だけを対象にしたように、東京都が仮に23区だけを対象に限定しても意味がない。繁華街は、周辺の多摩地域、神奈川、埼玉、千葉にも広がっており、おまけに通勤、通学などで多数の人が往来する。結局、1都3県に同じ措置をとらないとラチが明かず、緊急事態宣言と変わらないことになるのだ。
産経新聞がこう続ける。
「田村憲久厚生労働相は4月2日、『全国に感染拡大する蓋然性が高くなれば当然、躊躇(ちゅうちょ)なく緊急事態宣言を発令すると思う』と述べた。都関係者は『大阪に続き東京の感染拡大が一気に深刻になったら、緊急事態宣言の議論の流れになる』との見方を示す」
(福田和郎)