日本政府の水際対策が不満な国際水泳連盟
そんななか、東京五輪の開催を危うくする事態が起こった。国際水泳連盟が日本のコロナ安全対策の水際対応を不満として、日本で開く予定だった国際大会を中止にしたのだ。
英国BBC放送(4月2日付)「Tokyo Diving World Cup cancelled because of poor Covid-19 precautions」(飛び込みの東京W杯大会、不十分なコロナ予防で中止に)などの海外メディアが大きく報道した。日本側の五輪組織委には寝耳に水だった。
朝日新聞(4月3日付)「飛び込みW杯中止へ 国際連盟『日本の対応は不十分』」が、日本側の衝撃をこう伝える。
「国際水泳連盟(FINA)が東京五輪のテスト大会となる飛び込みワールドカップ(4月18~23日、東京アクアティクスセンター)について、中止の意向を日本側に伝えたことがわかった。すでに各国の選手団にも中止の方針を伝えている。
飛び込みW杯だけでなく、5月1日開幕のアーティスティックスイミング五輪世界最終予選、5月29日開幕のオープンウォータースイミング五輪世界最終予選(福岡市)も、『中止を検討する』としているという」
日本水泳連盟や政府は、五輪最終予選となる3大会の開催に向け、入国の手続きなどを進めてきた。ただ、FINA側は関係者の3日間隔離など日本政府の水際対策に難色を示している。飛び込みW杯では、選手や関係者を合わせて約600~700人が参加する予定だった。
朝日新聞が続ける。
「日本は原則、海外選手の受け入れを認めていない。政府が例外的に入国を認める『特段の事情』の枠で、緊急性や公益性のある新規入国を受け入れている。選手やコーチは検査で陰性が証明できれば翌日から練習できるが、審判や大会関係者は入国後3日間のホテル隔離が必要だ。FINA側はこうした水際対策や来日に必要な査証(ビザ)の手続きに不満を示した。加えて、関係者ホテルの貸し切り代などコロナ対策にかかる費用をどこが負担するのか、調整が難航していた」
日本側は、入国に当たって検査や数日隔離するなどの厳しい水際対策を、選手をはじめコーチなどの大会関係者に求めている。それはIOC(国際オリンピック委員会)も了承している安全策だったはずだ。それが不満だというのだ。
朝日新聞はこう結んでいる。
「ある組織委関係者は『今からこんな状態で、五輪は本当にできるのか』と嘆いている」
(福田和郎)