新型コロナウイルスの感染拡大による打撃で、2021年も大手企業の早期・希望退職者の募集が目立っている。
東京商工リサーチによると、1~3月に募集した上場企業は41社で、前年同期(23社)の約2倍になっている。募集人数は9505人で、こちらも前年同期(4447人)の2倍以上。リーマン・ショック直後の2009年(1万60人)に次ぐ規模で12年ぶりの高水準だった。
近鉄、JT... アパレルは2年連続も
上場企業の早期・希望退職者の募集は、リーマン・ショック直後の2009年は通年で191社(2万2950人)。また、東日本大震災後の12年は63社(1万7705人)、コロナ禍が世界を覆った20年は93社(1万8635人)だった。
2019年秋の消費増税、そしてコロナ禍があり消費低迷が継続。アパレル・繊維製品関係のほか、20年には感染拡大の影響で業務縮小を余儀なくされた観光業界などで募集の実施が目立つ。コロナ禍の影響はさらに広がっており、21年には、近畿日本鉄道や日本たばこ産業(JT)、革靴大手のリーガルコーポレーションも募集を発表した。
東京商工リサーチによると、今後、2月期・3月期決算企業の決算発表や雇用調整助成金の特例措置の縮減が控えており、コロナ禍からの業績回復に時間を要するB to C関連を中心に、上場企業の早期・希望退職募集がさらに加速する可能性があるとしている。
2021年1~3月に募集した上場41社の業種別は、販売低迷が続くアパレル・繊維製品、拠点や既存事業の集約が進む電気機器が7社で並んだ。コロナ禍による消費の落ち込みが直撃アパレル関連では業界最大手のワールド、三陽商会が2年連続で募集を発表した41社のうち、コロナ禍を実施理由の一つとしてあげたのは27社で、全体の65.8%だった。
募集人数(募集時点の人数が非開示の場合は応募人数を適用)は、JTがパートタイマ―、子会社の従業員を合わせて2950人が対象となり最多。次いで、近鉄グループのKNT-CTホールディングスが1376人、LIXILグループが1200人で、1000人以上の大型募集は3社に達した。すでも3月末時点で、20年の通年分(2社)を超えた。