コロナ禍で男女格差の解消にブレーキ
WEFのレポートによると、新型コロナウイルスによる感染症の世界的大流行の影響で、各国の男女格差の解消にかかる時間は「99.5年から135.6年へと1世代分増加」したと報告。コロナ禍の影響で女性は、男性よりも高い確率で職を失ったことが背景にある。
感染拡大を防ぐために世界各国で都市がロックダウンとなり、女性が多く勤務する小売店など消費関連のビジネスが長期にわたり業務を停止したことが一因だ。
レポートは、コロナ禍のパンデミックがすべての労働者に影響を与えている中で、女性にとっての影響がより深刻であることを具体的に指摘。国際労働機関(ILO)の統計によれば、コロナ禍での失職率は男性(3.9%)より女性(5%)のほうが高かった。また、ビジネス特化型のSNS、リンクトインのデータから、ワクチン開発で回復傾向となった雇用市場だが、女性の採用ペースが複数の業界で低下し、コロナ禍で結果的に格差解消にブレーキがかかっていると述べている。
こうしたことから、レポートはコロナ禍後について「企業や政府は、復興のための計画に、多様性、公平性、インクルージョン(受容、包摂)を組み込む必要がある」としている。
なお、ジェンダーギャップ指数は、WEFが2005年から毎年発表。WEFによると、開始以来15年目となった今回の報告では、経済的なハードル、教育機会、医療へのアクセス、政治参加という4つの分野での男女格差縮小への取り組み状況を測定して国を順位付けしている。