世の中には「今後の将来が不安」「失敗するのが怖い」など、不安や心配を過剰に思い悩む人がいます。そんな悩みすぎる人から相談を受けた時、取り扱い方を知らないと相手からの不安が伝染します。
本書では、臨床件数9万件の大人気カウンセラーが、繊細・イライラ・気にしいな「悩みすぎる人」との上手なつき合い方をわかりやすく解説します。
「『悩みすぎる』人のトリセツ あなたとまわりの不安を一瞬で0にする」(大嶋信頼著)秀和システム
なぜLINEが気になるのか?
メールの返信やLINEの「既読」が遅いだけで、何度もスマートフォンやパソコンを開いてはチェックして、「まだ来ていない!」と気にする方がいます。なぜ気になってしまうのでしょうか?
著者の大嶋信頼さんは、次のように解説します。
「『そんなの気にしたら、どんどん気になって相手の気持ちに振り回されちゃうから、もうやめたほうがいいよ』とアドバイスしても『でも、だって......』と聞く耳を持ちません。むしろ、そんなことを言えば言うほど『ちっとも私の気持ちをわかってくれない!』といじけて、LINEの既読を数分ごとにチェックするようになり、メールの再読み込みボタンを頻繁に押すようになってしまいます」
「これは『相手の気持ちを考える』ということで、ちょっとでも相手の返信や既読が遅いと不安になったり、苦しくなったりしてしまうからです。『え? 相手の気持ちを考えるなんてふつうでしょ?』と思いますよね。でも、こういう人は、ちょっとした既読の遅れで『私は嫌われているかも』とか『私の文章で相手が怒っているかも』と、相手の否定的な感情を想像してしまうのです」
つまり、独りよがりに怒ったり喜んだりしているに過ぎないのです。勝手に相手の気持ちを想像して思い込んでいるだけなのです。そういえば、筆者のまわりにもこのような人がいました。会議をしていてもスマホばかり見ている人もいます。気になって仕方ないのでしょうか。
大嶋さんは
「そして『相手のことなんてどうでもいいや!』と、一たんは怒りで相手を断ち切ろうとするのですが『やっぱり私が悪かったかも』と、不安と罪悪感が襲ってきて『チェックするのがやめられない!」と、そのことから目が離せなくなってしまうのです」
と説明します。
じつは何も気にしていない?
大嶋さんによれば、人間の脳は「相手の脳の状態を真似する」という機能があるそうです。だから、相手の不安や怒りが近くにいると、それがうつってきて「近くでLINEをチェックされていると落ち着かない」とか「なんだかだんだんイライラしてきた!」とLINEをチェックし続ける人のことが気になってしまいます。
大嶋さんは、
「相手の不安を和らげるために声をかけても、既読や返信をチェックし続けます。こちらは時間と労力を無駄にされている感じになって『ムカつく!』と、LINEをチェックする相手の不安に振り回されてしまうのです。でも、多くの人は『この怒りや不安は、相手の脳の真似をしている』なんて想像もしません」
と言います。
「返信や既読が気になるという人への対応は『あーあ、相手の気持ちを想像すればするけど不安になるんだな』と、放置しておくのが いちばん効果的です。そういう人は、勝手にLINE相手の気持ちを想像して『独り相撲』をとっています。『ああでもない、こうでもない』と、相手の気持ちを考え、怒りと不安のあいだを行ったり来たり繰り返しているだけです」
大嶋さんは、これは独り相撲なので「いつまで経っても勝敗がつかない!」と言います。本書にはこのような、日常によくあるイライラや悩みがわかりやすく解説されています。withコロナ時代のストレスフルな環境から解放されてみませんか。(尾藤克之)