新型コロナウイルスの感染拡大の影響で関心が高まった地方移住やワーケーション。株式会社リクルート住まいカンパニーが、東京都内に暮らす約1万人を対象に「移住」もしくは「2拠点居住」したいエリアについて聞いたところ、移住したいエリアの1位は「東京都 八王子・奥多摩エリア」に、2拠点居住したいエリアは「神奈川県 鎌倉・三浦エリア」が1位になった。3月23日に結果を発表した。
「東京都 八王子・奥多摩エリア」は2拠点居住したいエリアで、また「神奈川県 鎌倉・三浦エリアは移住したいエリアで、ともに2位だった。東京と神奈川の2か所が、移住・2拠点居住でワンツーになった。
3位以下に北海道、沖縄、九州
移住したいエリアの3~5位は、「北海道 石狩エリア」、「沖縄県 離島・諸島エリア」、「福岡県 福岡エリア」と、北海道と九州地方が続いた。6位以下では、8位に「沖縄県 那覇エリア」が入ったほかは、神奈川、静岡、千葉と東京に近い3県のエリアが並んだ=下表参照。
2拠点居住したいエリアの3~10位では、5位と6位に「沖縄県 那覇エリア」、「沖縄県 離島・諸島エリア」が並び、9位に「北海道 石狩エリア」が並んだほかは、神奈川県2エリアと静岡、長野、千葉各県のエリアと、やはり東京から訪ねやすい場所が多くなった。
「移住・2拠点居住したいエリアランキング」を、年代別にみてみると、20~50代では「東京都-八王子・奥多摩エリア」と「神奈川県-鎌倉・三浦エリア」のワンツーは共通で、20代と30代では「東京都 八王子・奥多摩エリア」が1位、40代と50代では「神奈川県 鎌倉・三浦エリア」が1位だった。
60代では、1位が「静岡県 伊豆エリア」。2位と3位が「神奈川県 鎌倉・三浦エリア」と「神奈川県 箱根・足柄エリア」で、「東京都 八王子・奥多摩エリア」は4位だった。
コロナきっかけに関心
地方移住や2拠点居住についての具体的な行動や関心について聞いたところ、「実施が決まっている」「実施を検討しており、問い合わせや現地見学などの行動をとっている」がそれぞれ1%、「実施を検討しており、情報収集をしている」が2%あった。
また、「具体的な検討はしていないが、強い関心がある」が7%、「具体的な検討はしていないが、関心がある」が25%となり、合わせて36%が関心を持っていることが示された。
性別、年代別にみると、男性20代や30代では「実施を検討」「関心がある」など前向きな回答が40%を超えて関心が高いことが示されたが、女性50代と60代では「関心はない」という回答が70%を超えた。同居家族別にみると、学齢前の子どものいる世帯と1人暮らし世帯の関心が高く、職業別にみると技術系の会社員や自由業の関心が高かった。
地方移住または2拠点居住を希望する理由は、「自然が豊かな環境で生活したい」が56%で最多。2位以降に「リラックス・リフレッシュできる時間・空間がほしい」(41%)、「住居費を下げたい」(31%)、「広い家に住みたい」(30%)、「生活費を下げたい」(27%)と続いた。
年代別にみると、20代・30代では「住居費を下げたい」(20代=39.3%、30代=38.9%)、「満員電車での通勤をやめたい」(20代=32.9%、30代=33.2%)が相対的に多かった。20代では「生活費を下げたい」(34%)、30代では「よりよい子育て環境を求めて」(24.9%)や「広い家に住みたい」(38.7%)も多かった。
ライフステージ別にみると、「自然が豊かな環境で暮らしたい」は子育て卒業シニアカップル(60歳以上)世帯で68.3%のほか、末っ子が社会人になったファミリー世帯で64.2%、また、末っ子が小学生未満のファミリー世帯でも62.3%が理由に挙げた。また、女性のシングル世帯では「東京での生活・仕事に疲れたから」(27.5%)が、最も多い理由だった。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、地方移住・2拠点居住の関心が高まったかどうかを聞いたところ、「感染拡大以前は関心がなかったが、感染拡大で関心が生まれた」が16%、「感染拡大以前から関心があったが、感染拡大でとても関心が高まった」が12%、「感染拡大以前から関心があったが、感染拡大でやや関心が高まった」が24%。これらを合わせて52%がコロナ禍をきっかけに関心が生じた、高まったと回答した。
年代別にみると20代、ライフステージ別にみると末っ子が小学生未満のファミリー世帯で関心が生じた、高まったとする人が相対的に多い。
なお調査は、東京在住の20歳~69歳の男女を対象に、2021年1~2月に実施。1万572人から有効回答を得た。