「隔離旅行」が新たなスタンダードに
スクリーニング調査の回答者のうち、2017~20年に海外旅行に行った人(ビジネス目的も含む)2187人を対象に、本調査を実施。入国時に一定の隔離機関が設けられる「隔離旅行」や「管理型旅行(グループ型のパッケージツアー)」について、どう思うかを聞いたところ、「行き先にこだわらず、すぐに海外旅行に行きたい」と考えている人は、51.2%が「隔離旅行」を容認した。
一方「すぐ行きたい」人でも、「管理型旅行」に参加したい人は32.6%にとどまり、約半数が「個人で好きにしたい」と回答した。
JTB総合研究所によると、すでに世界では、隔離期間中でも滞在を楽しめるプランを用意する国・地域が出ている。たとえばタイでは、ホテルでの隔離検疫をする代わりにゴルフ場でラウンドしながら16日間隔離検疫することができる政府指定のゴルフ場を5つ発表している。出入国時の隔離期間でも滞在を楽しめる工夫は、すぐに旅行に行きたいと考える旅行者のニーズと、現状を打破したい事業者の課題の両方を捉えたコロナ禍における海外旅行のスタンダードになるのかもしれないと見ている。
海外旅行再開の見通しが立たない現時点で、「再開を見据えた行動を何かしているか」との問いには、「海外旅行再開に向けた行動は特にしていない」は、51.6%と半数を超えた。2017~20年の海外旅行経験者でも、コロナ禍が長引き、渡航制限が続くことで海外旅行に対する関心が薄れてしまうようだ。
海外旅行再開に向けての行動を具体的に聞いたところ、「旅行費用を貯める」が38.7%で最も高く、「具体的に行きたい海外旅行先の情報をチェックする」が24.6%で続いた。性年代別に詳細をみると、15~29歳の女性では「旅行費用を貯める」、15~29歳の男性では「休みの計画を立てる」が、他の年代に比べて高い傾向がみられた。一方、男女60歳以上では「旅行番組」、「旅行会社の催行状況」が高く、具体的に海外旅行に行くために必要な情報を集めていることがわかる。
若年層では情報の取得は「旅行先に行った人のブログやYoutube」、「旅行体験談を家族などから聞く」が高く、同じ情報でも取得する媒体が年代によって異なる傾向がみられた。
JTB総合研究所は、コロナ禍が長引くことで、パスポートが切れたままになる、海外旅行に対する関心そのものが薄れてしまう、といったことを懸念。「再開時には、一度リセットされてしまった環境を元に戻し、海外旅行へのハードルを下げる取り組みも重要になる」とまとめている。