15歳から始める「投資」の授業 親の常識は通用しない

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構造的に強靭な人間になる

   奥野さんの投資家としての仕事は「将来有望な企業を探して、その企業が発行している株式を保有」すること。「株式市場に参加している人たちの『気持ち』で決まっている」という株価を予測して株式を売買するのは投機であり、奥野さんらの仕事である投資とは異なる。

   顧客からお金を預かり、そのお金を増やすための運用哲学は「売らなくて良い会社しか買わない」という投資活動だ。長期的に保有して複利による運用益を目指す。「短期のトレーダーのように、1日に何度も売り買いを繰り返すような真似は絶対にしません」と、きっぱり言う。

   奥野さんの投資対象は「構造的に強靭な企業」。構造的に強靭な企業であるためには3つの要素を満たす必要があり、それは「高い付加価値」「圧倒的な競争優位性」「長期的な潮流」だ。

(1)高い付加価値は、支持される意味的効用を持っていることであり、消費者が抱える問題解決策を提供できること。
(2)圧倒的な競争優位性は、新規参入を試みる他社に対し高い「参入障壁」を築いていること。
(3)長期的潮流は、その方向に進んだら簡単に反転させることができない事象のこと。

   たとえば、農林中金バリューインベストメンツの「農林中金〈パートナーズ〉長期厳選投資 おおぶね」は、奥野さんが「3つの要素」である構造的に強靭な企業の株式を集めた個人向け投資信託(ファンド)だ。2017年の設定を以来、着実に運用成果を出しており、現在は3シリーズを展開している。

   奥野さんは、構造的に強靭な企業を集めたファンドをつくる中で、一つ気づいたことがあるという。それは「構造的に強靭な企業の条件は、人にも当てはまるということ」だ。

「組織の時代は終わり、個人の時代へとシフトしています。時代の変化は激しく、変化のスピードはますます加速していくでしょう。さらにこれからの時代は、AIが私たちの生活にどんどん浸透していきます。それによって、今までは人がやっていた仕事の多くが、AIに置き換えられるようになります。そんな激しい時代でも常に必要とされるのは、構造的に強靭な人間だと思うのです」

   構造的に強靭な人間になるために、満たすべき要素もまた3つ。「高い付加価値」「圧倒的な競争優位性」「長期的な潮流」であると示している。

「15歳から学ぶお金の教養 先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?」
奥野一成著
ダイヤモンド社
1500円(税別)

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