毎日のあらゆる物事は投資
それでは、投資というのは一体何なのか――。それは「将来的に多くのお金を得る手段の一つ」。とはいえ、この説明で高校生はピンと来ないかもしれない。奥野さんは、こう言い換える。
「みなさんは、ふだん当たり前のように投資に接しています。というか、みなさんの毎日のあらゆる物事は投資であると言っても過言ではありません」
ある日の放課後に友達からカラオケの誘いを受けたが断って、部活の卓球の練習に行くことも投資だという。誘いに心が動いたが、それを振り切って断り練習に時間を費やすことにしたのは、3か月後の大会で入賞を目指すため。希望どおりに入賞ができるかどうかはともかく、卓球に打ち込むことで何か貴重なものを得ようとしたことは立派な投資だという。
具体的には、こうだ。時給1000円のアルバイトを2時間行い得た2000円で友達と2時間食事をするという選択肢と、4時間を英検1級合格のために勉強するという選択肢がある場合を想定する。
バイトと食事の場合は4時間限りだが、勉強の場合は目的を達すれば、その後のバイト単価が英語を使える仕事を選ぶことで3倍に跳ね上がる可能性がある。「バイトと友達との食事」を選ぶなら、常に後者のような可能性があることを考慮したうえで選ぶべきだと、奥野さんは言う。
「要するにすべては『選択』なのです。広い意味での投資とは『現在の資産(時間、才能、お金)を投下することで、将来的により大きな資産(時間、才能、お金)を得ようとすること』です。今、我慢することで、将来、より大きな何かを得ようとすること、と言い換えてもいいかもしれません。
現在の保有している資産(時間、才能、お金)を何に投下するのか? 自分自身に投下することを『自己投資』といい、自分以外の何かに投下する手法の代表的なものが、私が提唱する『長期株式投資』といえるでしょう」