経営者の自己保身は悪い結果しか生まない
今回のシステム部門がそうなってしまったのは、新システムに移行して1年が経ち弱いトップのリーダーシップでは緊張感が保てず、「もう大丈夫だろう」と現場が緩んだか、「我々はもはや注目されていない」といった一体感の欠落があったか、そのあたりが原因であろうと考えます。すべては強いリーダーシップ不在の組織のなせる業です。
みずほ銀行の第三者委員会の調査では、ぜひこのあたりにまで突っ込んで調べて欲しいところです。
中小企業における強いリーダーシップ不在は、合併云々に関係なく圧倒的に起こりやすいポイントがあり注意が必要です。たとえば実権が創業者から二代目、三代目に移った際や超ワンマン経営者の引退で後継がその座った時に、自分が前経営者に反発していた延長で社員に好かれようと八方美人的になったり、先代の組織管理の良い部分を評価することなく、それまでの厳しい管理の反動で悪しき放任主義に移行してしまったりした時などが、それです。
私は、不祥事や事故が強いリーダーシップの不在や前経営者の強いリーダーシップからの解放などによって引き起こされた例を、いくつも見てきました。経営者は自己のリーダーシップが果たして今、強い状態にあるか否か、自問自答を忘れないことが大切です。
合併会社における他派閥への遠慮や配慮と同じく、自社社員に対する自己保身からの遠慮や指示躊躇などを捨て去ることが何より重要です。
経営者の自己保身は、どんな形であれ悪い結果にしかつながりません。経営者の保身は心に巣くう悪魔である、と心していただきたいところです。(大関暁夫)