みなさん、こんにちは。馬医金満です。
証券大手の野村証券を傘下に置く野村ホールディングス(HD)の米国子会社が、多額の損失を負いました。かなり大事(おおごと)になっているようなので、僕なりの観点を交えつつ考えてみたいと思います。
巨額ブロック取引の背後にいた元トレーダー
野村ホールディングスは、米国子会社で顧客との取引が原因で、多額の損害が生じる可能性のある事象が発生した、と2021年3月29日に発表しました。
当該顧客に対する請求額は3月26日時点での市場価格に基づく試算で、約20億ドル(約2200億円)といいます。
また、海外の金融機関に目を向けると、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、クレディスイスも同様に損害を被る可能性があると報じられています。
今回の損害については、米国の株式市場で26日に実行された約200億ドル規模の株式ブロック取引が原因と考えられています。
ブロック取引とは、同一銘柄を一度に大量に相対取引で売却する取引のこと。とくに機関投資家がポジション整理のために、売却する場合に取られる手法と認識すれば、問題ないように思います。
その中で、巨額の株式ブロック取引の背後には、それを得意とする投資ファンドのタイガー・マネジメントコーポレーションの元トレーダー、ビル・フアン氏の財産を管理・運営するファミリーオフィスでヘッジファンドのアルケゴス・キャピタル・マネジメントが、取引銀行から200億ドル相当の株式の売却を強いられたことが理由だと考えられています。
売却を強いられた原因としては、マージンコールが原因だと思われます。マージンコールは、個人投資家でいう信用取引での追証とほぼ同じものといえます。
つまりは、ビル・フアン氏の管理するファンドが信用取引でレバレッジを効かせた運用をしており、その中で大きな下げを食らって証拠金不足となった。その補填のために、各金融機関が損失を出しているといった状況とみられます。
また新しい情報が出たら順次アップデートしていきたいとは思っていますが、現時点でいえることは、リスクとリターンというのは裏表の存在であって、確率論的にこのような事態が起こることは当たり前なのかな、と思っています。これを金融機関への批判につなげるのだとしたら、それはちょっと無理があるのかな、といったところです。
では、また!(馬医金満)